社説

  • 印刷

 政府は、子ども関連施策の司令塔となる「こども家庭庁」の基本方針を閣議決定した。内閣府の外局とし、厚生労働省や内閣府などの保育や子育て支援などの業務を新組織に移管する。2023年度のできるだけ早期の創設を目指している。

 同庁には専任閣僚を置き、各省庁への「勧告権」を持たせるが、法的な拘束力はなく、実効性の確保が課題となる。

 子ども関連施策は多岐にわたり、複数の官庁にまたがる。現状では、保育所や児童虐待防止は厚労省が所管し、幼稚園は文部科学省、認定こども園や少子化対策は内閣府が担う。施策決定に時間がかかる縦割りの弊害や対象年齢の違いによる継続支援の難しさが指摘されてきた。

 そうした状況を打破しようと、菅前政権がこども庁構想を打ち出した。だが今回、幼稚園と保育所の統一を目指す「幼保一元化」は見送られ、小中学校の義務教育の権限も文科省に残された。両省庁は、幼稚園と保育所での保育、教育の内容の指針などを共同でつくるとするが、中途半端な組織改編になる懸念がある。現場で実務を担う自治体も混乱しかねない。子どもの最善の利益を考慮した施策が遂行できるのか疑問が残る。

 少子化や人口減少に歯止めがかからない上、コロナ禍で20年度には児童虐待の相談対応件数や不登校、ネットいじめの件数が過去最多を記録した。同年は19歳以下の子ども約800人が自殺するなど痛ましい状況が続く。深刻化するいじめ対策では、文科省が重大事案を同庁と共有し、共同で対策に取り組む。

 十分な予算確保も不可欠だ。日本は子育てや就学前教育などにかかる手当が、比較的出生率の高い仏やスウェーデンなどに比べて少ないとされる。財源は社会保障制度改革とも関わるだけに、国民の理解を得ることが求められる。子ども関連施策の総合的な推進へ、理念となる基本法の制定も急ぐ必要がある。

 当初「こども庁」だった名称は、自民党などの「子どもの育ちは家庭が基盤」の意見を踏まえ、「こども家庭庁」になった。家庭で虐待などを体験し、抵抗感がある人もいる。子どもの利益が第一という理念を実現する組織にしなければならない。

社説の最新
もっと見る
 

天気(5月22日)

  • 26℃
  • ---℃
  • 20%

  • 28℃
  • ---℃
  • 20%

  • 26℃
  • ---℃
  • 10%

  • 29℃
  • ---℃
  • 20%

お知らせ