社説

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 新型コロナウイルスの新変異株「オミクロン株」の市中感染が大阪、京都、東京、福岡などの都府県で確認され、国内に広がりつつある。

 オミクロン株はデルタ株より感染力が格段に強いとされる。世界保健機関(WHO)は、市中感染が広がれば1日半から3日で感染者数が倍増すると推計する。政府の専門家分科会の尾身茂会長も「急速に感染拡大する可能性が高い」と指摘する。今が流行「第6波」の入り口と受け止め、備えを万全にすべきだ。

 強い感染力の一方で、オミクロン株は軽症か無症状で済む傾向も指摘される。南アフリカの研究チームは重症化リスクが従来株より70%低いとの初期段階の分析を公表した。

 ただ、感染者が急増すれば重症者も増える。第4波、第5波では、病床が逼迫(ひっぱく)し、自宅で亡くなる事例が相次いだ。同じ事態を再び招かないためにも、感染者の急激な増加は避けねばならない。

 外国人の入国の原則停止など、政府の水際対策は一定の効果があったとみられる。当面はこの対策を維持しつつ、国内の感染対策にシフトする必要がある。状況の変化に応じた臨機応変な対応が求められる。

 感染拡大の防波堤の一つとなるのがワクチンだ。2回接種後のオミクロン株感染例が出ているものの、3回目接種によって高い感染予防効果が期待されるとの実験結果もある。高齢者らを対象に、前倒しの3回目接種が兵庫県内を含めた各地で始まっている。ワクチンを安定的に確保し、この追加接種を迅速かつ着実に進めたい。

 早期発見と隔離の徹底も重要になる。東京や大阪では住民への無料検査が始まった。兵庫県も市中感染が確認されれば、無症状の人にも実施する。各自治体は希望する人が容易に検査できる体制の構築と、陽性者や濃厚接触者を受け入れる施設の確保を急いでほしい。

 また、感染拡大時を想定すると最も切実な課題は医療体制の拡充である。政府は、第5波のピーク時よりも3割増となる3万7千人が入院できる計画を整えたとする。兵庫県は現在300床が稼働する専用病床を2倍にできるよう医療機関に要請した。感染拡大時には1400床以上を用意することになっている。

 爆発的な感染拡大が起きるケースも想定し、医療従事者の確保や情報共有の仕組みづくりなどの事前準備が欠かせない。

 感染者が少ない時期が続き、国民の警戒心には緩みがみられる。年末年始には、帰省や会食などの機会が増える。感染防止に向け、政府は科学的根拠に基づく分かりやすいメッセージを発信してもらいたい。

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