社説

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 女性が持てる力を発揮するには、積極的な登用が重要だ。政治や経済の分野に限らない。女性の従事者が半数近くを占める農業こそ、「女性活躍」の取り組みが急務である。それを抜きに、農村地域の維持や活性化は語れない。

 鍵の一つとなるのが、農業委員会への女性の参画促進である。

 各市町村に設けられた農業委員会は、農業者の代表らで構成し、農地の保全や有効活用に大きな権限を持つ。具体的には、農地の売買や貸借の許可、農地の転用案件に対する意見具申などを担う。任期は3年で、かつては公選制だったが、2016年に市町村長が議会の同意を経て任命する仕組みになった。

 20年10月時点で全国の農業委員会は1702に上り、計約2万3200人の委員が活動する。このうち女性の割合はわずか12・3%で、254の農業委員会には女性がいない。農村社会の要といえる組織であり、以前から女性登用の必要性が叫ばれながら、男性中心の構成が変わらない現状を直視する必要がある。

 関西最大の農業県、兵庫に目を転じると、女性はさらに少数派だ。芦屋市を除く全市町に計40の農業委員会があり、586人の農業委員がいるが、女性は54人で9・2%にとどまる。21年5月時点ではさらに減って8・4%になった。

 市町村や都道府県は、女性登用を農業委員会に任せきりにせず、積極的に働きかけ、支援すべきだ。また農業に携わる男性だけでなく、女性自身の意識改革も重要になる。

 丹波篠山市の農業委員を務めて4期目の大西冨美子さん(74)は、農地の貸し手と借り手のマッチングをはじめ、特産品の開発やPRなどに精力的に取り組む。「どうすれば地域が元気になるかを自分たちで考え、実行できる。苦労もあるが、やりがいは大きい。挑戦する女性が増えてほしい」と語る。

 女性登用に力を入れる同市農業委員会の田渕清彦会長(69)は「男性目線で物事を進めれば、地域から女性が離れていく。少なくとも半数は女性が担うべきだ」と、委員候補に女性を推薦するよう地域団体などに呼びかけている。一時は5人に増えた女性委員は現在大西さん1人になり、残り18人は男性だ。「意欲ある女性の背中を押す雰囲気をもっと高める必要がある」という田渕会長の言葉に耳を傾けたい。

 政府は、農業委員に占める女性の割合を早期に20%に引き上げ、25年に30%とする目標を掲げる。そのためには女性に偏る家事、育児、介護などの負担軽減が不可欠だ。待ったなしの課題として、地域で問題意識を共有しなければならない。

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