社説

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 「平和国家」で、唯一の被爆国である日本の立ち位置が、改めて問われた年だった。最大の要因は超大国・米国と台頭著しい中国の対立である。

 日本は米国との同盟関係で安全保障を図る一方、中国とも経済面などでつながりが深い。両者と安定した関係を維持しなければならない事情がある。

 米国などが北京冬季五輪・パラリンピック開会式の「外交ボイコット」を決める中、岸田政権が東京五輪・パラリンピック組織委員会会長の橋本聖子参院議員らの出席にとどめると表明したのは、今月下旬である。中国にも一定の配慮をした苦渋の判断だった。2022年もこうした状況は続くだろう。

 米バイデン政権は中国などを念頭に、「専制主義」に対抗する「民主主義サミット」を開催し、日本も招待された。

 欧米諸国はウイグル族弾圧を非難し、物品輸入原則禁止などの制裁措置を取っている。香港の人権抑圧や台湾への軍事的威嚇にも厳しい姿勢を見せる。

 日本も踏み込んだ対応を求められる可能性がある。政府は中国の人権問題を担当する補佐官を新設しつつも、制裁には慎重だ。人権抑圧に反対するのは当然だが、平和構築への尽力も日本の重要な役割であり、その基本線を見失ってはならない。

 米国などと対立する中国やロシア、北朝鮮はいずれも日本の近隣国で、向き合い方が難しいのは確かである。ロシアとは北方領土交渉が停滞し、北朝鮮による日本人拉致問題の解決にも今以上の努力が要る。

 中国艦船の沖縄県・尖閣諸島周辺海域への侵入や北朝鮮の核・ミサイル開発など、危うい動きも絶えない。日米安保を基軸にした「力の論理」だけでは打開しにくいのが現実だろう。

 連携を深めるべき韓国との関係は今年も冷え込んだままだった。韓国では来春の大統領選に向け政治論争が過熱する。さらなる関係悪化を避けるには、双方の冷静な対応が欠かせない。

 核兵器禁止条約は、年明けに発効1年を迎える。日本は反対の立場だが、来年3月の締約国会議へのオブザーバー参加を含め、積極的な姿勢を示すべきである。被爆国・日本の対応は来年も世界から注視される。

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