社説

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 今年も、新型コロナウイルスの猛威に揺さぶられた一年だった。緊急事態宣言の発令と解除が繰り返され、暮らしや経済が厳しさを増した。命の危険が迫るのに入院できない患者が続出し、医療崩壊の危機が現実となった。ワクチン接種が進み、急速に減少したが、年末からは新変異株「オミクロン株」への対応が喫緊の課題となっている。

 政治の指導力が求められる局面で、昨年に続く突然のトップ交代劇だった。コロナ対策が後手に回り求心力を失った菅義偉首相が9月、退陣を表明した。自民党総裁選で岸田文雄氏が後継に選ばれ、首相に就いた。衆院選では自民が絶対安定多数を占め、自公政権が維持された。

 岸田首相は「聞く力」をアピールし、9年近く続いた強権的な「安倍・菅政治」からの転換を掲げた。約36兆円に上る過去最大の補正予算を成立させたものの、18歳以下への10万円給付では迷走した。批判的な意見にも耳を傾け、「丁寧な政治」を貫けるのか。年明けから始まる通常国会が正念場だ。

 兵庫では知事選で20年ぶりにトップが交代したほか、神戸市長選などがあった。目立ったのが日本維新の会の躍進だ。知事選では自民と相乗りで推薦した斎藤元彦氏が当選し、衆院選では大幅に議席を増やした。打ち出した「刷新」や「改革」の中身を見極めねばならない。

 1年延期の東京五輪・パラリンピックは、緊急事態宣言が発令され、中止論も強まる中、開催へと突き進んだ。「多様性と調和」をうたいながら、森喜朗大会組織委員会会長の女性蔑視発言など、関係者の差別的な言動が次々と表面化した。五輪を開催する意義について根源的な問いが投げかけられた。

 災禍はコロナだけではなかった。静岡県熱海市で豪雨による土石流が発生、盛り土を含む土砂が家屋を押し流し、多数の犠牲者が出た。大阪・北新地のビル放火殺人事件では、理不尽に多くの命が奪われた。なぜ防げなかったのか。繰り返さないためにどうすればいいのか。社会全体で考える必要がある。

 来る年もコロナ禍と向き合う日々が続く。格差を広げないためにも苦境にある人に手を差し伸べ、互いに支え合いたい。

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