社説

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 北朝鮮がまたも飛翔(ひしょう)体を発射した。国営メディアは「極超音速ミサイルの実験」と報じており、日本の排他的経済水域外の海域に落下したとみられる。

 民間船舶などが行き交う海域へのミサイル発射は極めて危険な行為だ。弾道ミサイルであれば、国連安全保障理事会の禁止決議に明白に違反する。

 北朝鮮のミサイル発射は昨年10月以来だが、これまでも安保理決議を無視し、核・ミサイルの実験を続けてきた。日本を含む東アジアの安全を脅かす振る舞いは、断じて容認できない。

 ミサイル開発は核軍備増強に直結する。金正恩(キムジョンウン)指導部には国防力強化で国民の士気を鼓舞する狙いもあるのだろう。

 だが、北朝鮮の国民生活は国際社会の経済制裁や新型コロナウイルス対策の国境封鎖などの影響で疲弊しているとされる。ミサイル開発などでは食料不足などの問題は解決しない。

 自国民の救済こそ急務のはずである。孤立を深めるだけの挑発は直ちにやめるべきだ。

 懸念されるのは、こうした身勝手な振る舞いが核兵器廃絶の動きに水を差すことである。

 今回のミサイル発射は、核を保有する米中ロ英仏五大国の首脳が核戦争の回避と核軍縮交渉推進への決意を示す共同声明を発表した直後に行われた。

 共同声明は、軍拡競争などを防ぐため「2国間、多国間の外交的取り組みを追及する」とうたっている。五大国は北朝鮮に核・ミサイル開発を断念するよう強く迫らねばならない。

 一方、五大国も共同声明を「お題目」に終わらせず、自ら核軍縮の具体策を打ち出すべきである。核拡散防止条約(NPT)は五大国の核保有を容認しているが、同時に核軍縮交渉を進める義務を課している。

 40~50発の核弾頭を持つ北朝鮮はNPTを脱退し、イスラエルやインドなど未加盟国も大量の核を保有する。1万発超と大半の核を保有する五大国が核軍備競争をやめ、率先して削減に踏み出さなければ、核戦争の危険は高まるばかりだ。

 新型コロナの影響で延期されていたNPTの再検討会議は、8月開催に向け調整が進んでいる。今年こそ核廃絶への確かな一歩としなければならない。

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