社説

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 東京五輪・パラリンピックの開催経費が総額1兆4530億円になるとの見通しを、大会組織委員会が発表した。2020年12月に示された予算計画の1兆6440億円と比べると、1910億円減となった。東京都や国が追加で公費負担する必要はなくなったとしている。

 予算計画では新型コロナウイルス禍による1年延期に伴い、追加経費などを上乗せしていた。計画より減ったとはいえ、招致段階の13年に国際オリンピック委員会(IOC)に提出した開催経費7340億円の2倍近い。組織委は当初の想定が甘かったと重く受け止めるべきだ。

 延期の決定後、組織委は大会の簡素化を進めた。海外から来日する関係者を大幅に減らし、原則無観客開催となったために、予定していたチケット収入は消えたものの、運営に関する人件費などが抑えられた。

 経費抑制の工夫は一定程度あったといえるが、コロナ禍による制約が結果的に減額につながった側面は否めない。そもそも19年12月時点で、既に1兆3500億円の巨額になっていた点は軽視できない。

 12年ロンドン大会も当初の3倍近い2兆1千億円に膨らんだ。巨大イベントが抱える経費の不透明さを、根本から問い直すべきではないか。

 東京大会の総括に対してはスポンサーの目も厳しい。開催意義や経費増大に関し、十分な説明がなされなかったなどの意見があるという。緊急事態宣言下、国民に中止などを求める声が根強い中で開催が強行され、理解が深まらないまま閉幕した経緯は改めて確認しておきたい。

 加えて看過できないのは、IOCが立候補都市に提示させるのが主に施設建設費であり、会場周辺整備費や安全対策費が含まれないことだ。当初に見積もる経費を低く見せたい思惑があると指摘される。

 東京大会では、猛暑対策の舗装改良工事や施設のバリアフリー化などが行われており、こうした関連経費は今回の総額には含まれていない。東京都だけで7千億円程度とされ、政府の関連事業費は18年度までの6年間で1兆600億円に上ると、会計検査院が報告している。

 組織委による最終的な決算は6月ごろになる見込みだ。開催自治体の負担分などを含めた経費の内訳と全体像をつまびらかにして、国民に示す必要がある。

 30年冬季五輪・パラリンピックの招致を目指す札幌市は、経費総額を2800億~3千億円と発表した。この計画もまた過小な想定になっていないか、点検が不可欠だ。まずは東京大会の検証を尽くし、その教訓を生かさなければ、次の国家的イベントへの国民の理解は得られない。

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