社説

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 新型コロナウイルスの新変異株「オミクロン株」による感染者急増に対応し、兵庫県は医療提供体制を2段階引き上げる方針を決めた。コロナ病床を1200床程度に、宿泊療養施設を2千室程度に、それぞれ倍増させる調整に入る。県民に対し、感染拡大地域への不要不急の移動を控えるよう要請も始めた。

 県内の新たな感染者はきのう、904人が確認され、先週の同じ曜日の8・6倍になった。重症用病床の使用率は1・4%と低水準にあるものの、病床全体では19・9%で、自宅療養者も513人に達した。

 全国でもオミクロン株への置き換わりが急速に進み、感染「第6波」に歯止めがかからない。新規感染者は1万5千人を超え、感染爆発に迫る様相である。海外の例を踏まえると、経験したことのない拡大も想定した備えを万全にすべきだ。

 まずはワクチンの追加接種を加速することが急務だ。県の大規模接種会場では、接種券が届いていない65歳以上の予約も受け付ける。ただ会場は2カ所しかない。市町からの接種券発送を急ぎ、高齢者が地元で接種できる環境を整えてほしい。

 病床確保にとどまらず、保健所や自宅療養の支援などを含む地域ぐるみの医療体制強化も欠かせない。

 オミクロン株は重症化リスクが低い可能性があるとはいえ、拡大速度は驚異的だ。高齢者に広がれば重症者が一気に増える恐れがある。今後の増加が見込まれる自宅療養者の症状悪化を防ぐには、往診や訪問看護に当たる人員、特例承認された飲み薬の確保などが求められる。

 体制強化の一方、兵庫県はまん延防止等重点措置の適用要請を見送った。飲食店での酒類提供は制限しない。斎藤元彦知事は「感染対策と経済活動を両立させるギリギリのバランスを模索したい」と述べた。

 回復傾向にある経済活動にブレーキをかけたくないとの考えは理解できるが、菅前政権は経済再生に軸足を置くあまり感染拡大を招いた。オミクロン株の特性を見極め、危機の兆候を見落とさず、重点措置の要請などを決断してもらいたい。

 感染の急拡大で懸念されるのは濃厚接触者の激増だ。各分野で人手不足が生じれば社会機能の維持が難しくなる。これを防ぐため、政府は濃厚接触者の待機期間を14日間から短縮する検討を始めた。オミクロン株の潜伏期間が従来株より短いとみられるためだ。科学的知見に基づき慎重に判断する必要がある。

 国内でのコロナ患者初確認から15日で2年になる。蓄積してきた経験や知見を総動員し、個々人も冷静に対策を講じて「第6波」の苦難を乗り越えなければならない。

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