社説

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 年明けから、北朝鮮が弾道ミサイルを続けざまに発射している。この17日も短距離弾道ミサイルとみられる2発を、日本の排他的経済水域外の日本海に向けて飛ばした。

 1月だけで4回、最近は3日置きという異常なペースだ。防衛省によると、2011年末に金正恩(キムジョンウン)総書記の指導体制となって以降、飛翔(ひしょう)体数は計100発に達した。

 国連安全保障理事会は、北朝鮮による弾道ミサイルの開発と発射を「緊張を増大させる行為」として明確に禁じている。日本はその都度抗議し、欧米諸国も非難してきた。

 にもかかわらず、国際社会に背を向けて次々に発射を重ね、危険な行為を続けている。これでは自ら孤立を深めるだけである。

 挑発的な振る舞いを直ちにやめるよう、改めて強く求める。

 対外的な強硬姿勢と裏腹に、北朝鮮の国民は十分な食料すら手にしていないとされる。国連機関は「栄養不良人口の比率が5割近い」という調査結果を2年前に公表した。

 新型コロナウイルス感染症対策の国境封鎖で輸入が激減した。最近、中国からの物資搬入を2年ぶりに再開したが、物資の欠乏で庶民の生活は困窮している。

 金総書記は昨年末の朝鮮労働党中央委員会総会で、農業生産の拡大を「人民が第一に解決を待つ切実な課題だ」と述べた。食料不足は無視できないほど深刻な状況のようだ。

 だが一方で、最新鋭のミサイル開発を「最も重要な核心課題」と強調し、貴重な資源を優先的に投入し続ける。国民を後回しにした軍事優先のいびつさを直視すべきだ。

 音速の5倍以上で飛行する極超音速ミサイルは防衛網をかいくぐるとされる。北朝鮮のミサイルの一部は音速の約10倍で飛行し、軌道を変える変則的な飛び方をしたとされ、日本にとって脅威となりかねない。

 日米両政府は外務・防衛担当閣僚の安保協議委員会で、極超音速ミサイルに対抗する防衛装備品の共同研究協定に署名した。岸田文雄首相は施政方針演説で「『敵基地攻撃能力』を含め、あらゆる選択肢を排除せず現実的に検討する」と述べた。

 北朝鮮の無謀な行為が平和と安定を脅かしているのは事実である。ただ、力で対抗するだけでは軍拡競争に陥り、むしろ緊張が高まる恐れがある。平和憲法に基づく専守防衛の基本姿勢を骨抜きにする強引な政策転換は許されない。

 日本は粘り強く対話を呼び掛ける外交努力を継続しなければならない。米韓を中心に国際社会と連携し、制裁に慎重な中国、ロシアにも北朝鮮への圧力を促すべきである。挑発に乗らない冷静な対応が必要だ。

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