社説

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 ウクライナに対するロシアの軍事侵攻から、あすで2カ月になる。停戦協議は進展せず、市民を巻き込んだ攻防は激しさを増している。

 ロシアのプーチン大統領は、南東部の主要都市マリウポリを制圧したとの認識を示した。ウクライナ側は制圧を否定しており、部隊が製鉄所に立てこもり、戦闘が続く。

 ロシア軍は地下まで届く特殊貫通弾で攻撃を加えているとされ、製鉄所構内に避難した約千人の民間人の命まで脅かされている状況だ。

 ロシア側も黒海艦隊の旗艦が沈没するなど、大きな損害が出ている。このままでは報復が報復を呼び、交渉はいっそう困難になる。

 ロシア側は、「解放」を侵攻の目的に掲げる東部ドンバス地方で攻勢に出る構えとみられるが、軍事面で圧倒しても、さらなる制裁強化と孤立化は免れない。ウクライナとの停戦協議に本気で臨むべき時だ。

 ロシア軍が撤退した首都キーウ(キエフ)近郊では、民間人の遺体が多数見つかった。虐殺や拷問など戦争犯罪の疑いがあり、国際刑事裁判所の主任検察官らが捜査に乗り出した。現地の惨状が明らかになるにつれ、非難は高まるばかりである。

 にもかかわらず、子どもまで標的にされる状況は今も続いている。ウクライナ全土で民間人の死者は2万3千人を超えた。実際はもっと多くの命が失われているに違いない。

 国内の避難者も約710万人に上り、国外脱出は500万人超と国連機関は推計する。全人口の約3割が避難する深刻な破壊と人道危機を招いた責任の重大さを、ロシアは深く認識しなければならない。

 米国や欧州、日本によるロシア包囲網は一段と強化されている。岸田文雄首相は、関係国との首脳会合でウクライナへの借款を1億ドルから3億ドル(約385億円)に増やすと述べ、新たに監視用ドローンと化学兵器対応用防護マスク、防護衣を提供する方針も説明した。

 米欧諸国は重火器のりゅう弾砲や対戦車ミサイルなどの兵器を追加供与する。ロシア軍の動きが分かる衛星情報も伝えているとされる。

 一方、ロシアは5月9日の対ナチス・ドイツ戦勝記念日までに成果を手にしたいと考えているようだ。殺傷力の高い兵器による戦闘が激化、長期化し、民間人などの犠牲者がさらに増えることが懸念される。

 マリウポリの市街地には約10万人の市民が取り残されているという。無事に脱出するためにも、今はいかにして戦闘を止めるか、停戦実現の努力が最優先の課題ではないか。

 交渉には仲介役も必要になるだろう。日本は他国と協力し、平和回復の糸口を全力で探るべきである。

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