社説

  • 印刷

 5月1日は「労働者の日」メーデーである。

 兵庫県内では一昨年と昨年、新型コロナウイルスの感染拡大による緊急事態宣言の真っただ中で迎えた。今年は3年ぶりに対面で集会を開く労働組合がある。

 コロナ禍は元からあった格差を顕在化させ、さらに広げた。フルタイムで働いても貧困状態から抜けられない「ワーキングプア」が増えている、とも指摘される。

 「働きがいのある人間らしい仕事」は、国連が掲げる持続可能な開発目標(SDGs)の一つである。ディーセントワークといわれる。実現には、労働運動の役割がますます問われるだろう。メーデーを機に、働く者同士が職場や雇用形態の枠を超え、連帯や団結することの大切さを改めて確認したい。

 ここへきて顕著になっているのが物価の上昇だ。原材料高や円安、ロシアのウクライナ侵攻などを背景に、光熱費や食品などの値上げラッシュは今後も続くと予想される。給与が上がらない中でインフレが進行すれば、暮らしへのさらなる打撃は避けられない。消費は冷え込み、景気回復が遠のく恐れがある。

 持続的な賃上げの必要性が一段と高まっている。多くの業種で、働き手への労働分配率は歴史的な低水準にある。それを反映して、日本の賃金の伸びは世界的にも鈍いままだ。今こそ、労働者への企業収益の還元を進める必要がある。

 賃上げの鍵となるのが、企業が価格転嫁できるかどうかだろう。消費者は長年の物価安に慣れており、値上げに慎重な企業は少なくない。しかし、コストの上昇分を適切に価格に転嫁できなければ、収益悪化に直結し、倒産の懸念が高まる。

 大企業が次々と値上げに踏み切る一方、多くの中小企業は価格転嫁が十分にできていない。「納入先が高圧的に取引停止をちらつかせてきた」などの声が中小企業庁に寄せられている。

 政府は物価高の緊急対策として、1・3兆円の中小企業向け施策を盛り込んだ。物価上昇分を、中小企業が適切に価格転嫁できるように支援するという。価格転嫁を賃上げにつなげていくことが重要だ。同時に、取引先による「買いたたき」や「下請けいじめ」に監視の目を光らせていかねばならない。

 働く人のうち労働組合に入っている人の割合は昨年6月末時点で推定16・9%にとどまり、2019年に次いで過去2番目の低さとなった。非正規雇用が多い女性や高齢者を含め、多様な労働者の声を吸い上げる組織になっているか。労組には自身の課題を検証してもらいたい。

社説の最新
もっと見る
 

天気(7月5日)

  • 29℃
  • ---℃
  • 70%

  • 32℃
  • ---℃
  • 50%

  • 29℃
  • ---℃
  • 70%

  • 30℃
  • ---℃
  • 70%

お知らせ