社説

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 韓国の尹(ユン)錫悦(ソンニョル)新大統領の就任式がきのう開かれた。5年ぶりの保守系政権発足で、革新系の文在寅(ムンジェイン)前政権との間で冷え込んだ日韓関係の改善に期待が高まっている。

 尹氏自身、大統領選後に「未来志向の日韓関係をつくる」と明言しており、岸田文雄首相と電話会談を行って関係発展に協力することで合意した。その言葉を着実に実行に移してもらいたい。

 ただ、自民党内には韓国側の本気度をいぶかる見方が根強くある。尹氏が3月に派遣した代表団が日本側との会談で具体的な解決方針に言及しなかったためだ。

 首相はそうした声に配慮して就任式出席を見送り、林芳正外相を特使として派遣した。段階を踏んで距離を縮める姿勢を示したとも言えるが、大切なのはこれからの対応だ。

 日韓には、元慰安婦や元徴用工への補償問題など、歴史に根ざす難題が横たわる。首相は外相時代の2015年に訪韓し、慰安婦問題で日韓合意をまとめた経験があり、現状にはじくじたる思いがあるだろう。

 林外相はソウルで尹氏や外相候補らと会い、歴史問題の早期解決へハイレベルの対話を促進する考えで一致したという。首相は新政権との信頼関係を醸成し、尹氏との直接会談の機会を探る意向とされる。

 今月後半にはバイデン米大統領が日韓を訪問し、北朝鮮をにらんだ日米韓連携について話し合う。その際、日韓に歩み寄りを促す公算は大きい。その機会を生かし、首脳会談の早期開催に努力すべきである。

 朴槿恵(パククネ)氏の大統領時代には元慰安婦問題で日韓双方が折り合わず、当時の安倍晋三首相との個別会談が2年以上も開かれなかった。米国の要請で対話を再開し、慰安婦問題の解決で合意したものの、文政権に代わってまたしても関係が悪化した。

 複雑な国民感情を背にした問題をこれ以上こじらせず、相互理解を深める方策に尽力せねばならない。

 過去よりも将来どうすれば互いの利益になるかを探る。未来に向けて協力する過程で、歴史問題の解決に膝をつき合わせる-。尹氏が3月の記者会見で語った言葉だ。

 非をなじるだけでは対話は前に進まない。尹氏が言うように、どんな協力ができるか、前向きな取り組みを積み重ねることが重要だ。元徴用工の賠償訴訟で差し押さえられた日本企業の財産売却問題など、目の前の課題解決に双方で知恵を出し合うことが、試金石になるだろう。

 残念なのは、尹氏が就任演説で日韓関係に一言も触れなかったことである。新大統領が言う「未来志向」とはどのようなものか、できるだけ早く明らかにしてほしい。

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