社説

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 総務省は、ふるさと納税制度の対象から洲本市を除外すると決めた。返礼品「洲本温泉利用券」の調達費が、寄付額の3割以下とする国の基準に違反すると認定した。除外は兵庫県内の自治体では初となる。期間は5月から2年間で、同市に寄付をしても税の優遇は受けられない。

 過剰な返礼品競争に警鐘を鳴らす処分である。他の自治体も制度の運用状況を点検したい。

 総務省によると、寄付者が地元旅館で使える温泉利用券の調達費とは別に、洲本市が洲本温泉観光旅館連盟に支払っていた手数料も調達費に当たると認定した。当初、市はルール違反を否定したが、不服申し立ては行わないとした。上崎勝規市長は「寄付額を高めることに注力した結果。申し訳ない」と謝罪した。

 洲本市は2015年度以降、寄付額を急速に伸ばし、21年度は約80億円を集めた。今回の除外により、本年度当初に見込んだ60億円がほぼ消滅する。一般会計規模が300億円前後の同市には無視できない額だ。商業振興など本年度の事業は当初予算通り執行するというものの、市民生活への影響が懸念される。

 ふるさと納税を巡っては大阪府泉佐野市が、地元とは無縁のネット通販のギフト券などを見返りに巨額の寄付を獲得し、一時制度から除外された。過熱する自治体間競争を沈静化しようと、国は19年6月、返礼品について「寄付額の3割以下の地場産品に限る」などと規制した。

 利用者が応援したい自治体に寄付すると、居住地の自治体に納める住民税などが軽減される。その分、本来得られる税収が減った市町村では住民サービスに支障が出かねない。

 また寄付金の多寡にかかわらず、利用者の自己負担は実質2千円である。所得が高い人ほど多くの返礼品を受け取れる上、税の控除額が高くなる「優遇」批判も根強い。

 ふるさと納税による20年度の寄付総額は過去最高の6724億円に上る。だが善意で故郷などを応援する本来の趣旨は薄れている。実際には返礼品の中身で選ぶ人が多く、自治体同士で限られた財源を奪い合う構造は変わらない。新制度でも、抜け道的な競争による寄付額の格差が広がっている。

 政府はこうした税制上の欠陥を直視すべきだ。

 一方で、自然災害の被災地支援やコロナ禍の医療支援など使い道に対する共感を得ることで、返礼品なしで寄付を募るなどして、制度を活用する自治体も増えている。

 政府は、返礼品を廃止して本来の趣旨に沿った寄付制度にするなど、根本的な見直しを急がなければならない。

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