社説

  • 印刷

 2022年3月期の決算発表で上場企業の業績が絶好調となった。日立製作所、トヨタ自動車といった日本を代表する大企業は最高益を更新した。上場企業全体の集計(18日時点)でも最終的なもうけを示す純利益が前期比36・2%増の37・9兆円となり、過去最高を更新した。

 追い風になっているのは円安だ。海外で事業を展開したり、製品を輸出したりする企業にプラスに働いている。とはいえ経済環境は刻々と変化している。先行きを注視し、次の一手を打ち出すときに来ている。

 兵庫県内の企業でも好調な決算が相次いだ。神戸製鋼所は経常利益が前期比5・8倍と大幅な増益となった。川崎重工業も純損益が前期の赤字から黒字に転換した。シスメックスも各国の医療体制強化による市場拡大で純利益が過去最高となった。

 一方、中堅商社の神栄は円安、コスト高で減益となり、ベビー服のキムラタンは値下げ販売や円安などで最終赤字となった。明暗が分かれた格好だ。

 法人企業統計によると、大企業の営業利益は20年10~12月期を底に回復に転じ、21年10~12月期にはコロナ禍前の水準を上回った。しかし中小企業は外需を取り込むのが難しく、原材料の輸入などで円安はむしろ打撃となっている。コロナ禍で深刻な影響を受けた飲食・宿泊業や生活関連サービス業の業績回復が遅れている点も大きい。

 資源高が進行しているのも懸念材料だ。県内企業でも、23年3月期の業績予想で純損益を減益や赤字になると予測する企業は少なくない。食品業界では値上げが相次ぐ。物価が上がる半面、賃上げは進まない。個人消費は当面、厳しい状況が続く。

 好決算を踏まえ経営者に求められるのは、先を見据えた分野への投資を進める判断ではないか。企業価値の源泉は工場設備などの有形資産から人材、技術、ノウハウ、ブランドなどの無形資産に変わりつつある。気候変動で環境が脅かされる今、ESG(環境・社会・企業統治)分野への投資も不可欠だ。

 不透明な時代だからこそ、日本企業は新たな価値を創造するべきだ。時価総額を高める努力は重要だが、次代を切り開く気概を経営者には求めたい。

社説の最新
もっと見る
 

天気(7月5日)

  • 29℃
  • ---℃
  • 70%

  • 32℃
  • ---℃
  • 50%

  • 29℃
  • ---℃
  • 70%

  • 30℃
  • ---℃
  • 70%

お知らせ