社説

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 映画、ドラマなどの撮影を誘致し、支援するフィルムコミッションの草分け的存在として知られる「神戸フィルムオフィス」が今年の神戸新聞平和賞を受ける。

 阪神・淡路大震災から5年後の2000年に設立され、映像を通して復興する街の魅力を伝えてきた。ロケ地探しや地元調整など関わった作品は3300本余り。1万人を超える市民サポーターが協力する。

 01年公開の映画「GO」で、日本で初めて地下鉄線路内での撮影を実現させた。同様の団体が全国各地にできた今も「神戸は要望をかなえてくれる」と作り手の信頼は厚い。

 国際映画祭で高い評価を受けた作品にも参画し、その実績は、「何の変哲もない風景が絵になる街」の価値を市民が再認識する機会にもなった。映画づくりを支えるファンを増やす試みは、新型コロナウイルス禍が直撃した創作活動やエンターテインメント業界を力づけるだろう。

 文化賞には、将棋棋士九段井上慶太さん(58)=加古川市=が決まった。棋士として活躍する傍ら、加古川市内で将棋教室を主宰し、「棋士のまち加古川」の先頭に立ってきた。飾らない人柄と高い指導力に定評があり、弟子6人をプロ棋士に育て上げた。プロを目指す若者の入門も後を絶たない。

 11年には加古川市が若手棋士の登竜門「加古川青流戦」を創設し、棋士のまちの認知度は一気に高まった。その未来を担う将棋人口の拡大を今後もけん引してほしい。

 社会賞は弁護士垣添誠雄(もとお)さん(80)=神戸市東灘区=だ。1985年、尼崎市で暴力団抗争の巻き添えとなり女性が死亡した事件で、女性の母親とともに組長の「使用者責任」を問う全国初の民事裁判を起こし、和解金を支払わせた。その後も、全国最大の暴力団山口組が本拠を置く兵庫で法を盾に戦い抜く姿は、各地の暴力団追放運動に影響を与えた。

 大阪教育大付属池田小学校の児童殺傷事件では、遺族の代理人として国の安全管理責任を追及した。ほぼ半世紀にわたる弁護士活動は、弱者の側に立つ信念に貫かれている。

 神戸を拠点に、今年2月の北京冬季五輪フィギュアスケートで女子シングルと団体の銅メダルを獲得した坂本花織さん(22)=神戸市灘区=にはスポーツ賞が贈られる。

 3月の世界選手権では金メダルに輝いた。ジャンプの回転を競う風潮に流されず、壮大で疾走感ある演技を磨いた。精神力の強さと朗らかさでさらなる飛躍を目指してほしい。

 受賞される方々は、たゆまぬ努力と高い志で地域にとっても誇らしい成果を上げてきた。今後も続く挑戦に惜しみないエールを送りたい。

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