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 鶏卵生産大手「アキタフーズ」グループの元代表から現金計500万円を受け取ったとして収賄罪に問われた元農林水産相の吉川貴盛被告に、東京地裁が懲役2年6月、執行猶予4年の有罪判決を言い渡した。公正性や透明性が求められる行政への国民の信頼を失墜させ、政治不信を募らせた責任は非常に重い。

 判決は2018年11月~19年8月、家畜を快適な環境で飼育する「アニマルウェルフェア」の国際基準案に反対するなどの便宜を図った見返りとして、元代表から受け取った現金をいずれも賄賂と認定した。大臣としての自覚や資質に著しく欠けていたと言うほかない。

 現金は大臣室でも受け取っていた。生活費や会合費に充てるなど全て使い果たしていたという。判決が「利欲的な犯行」と断じたのは当然だ。

 元農相は「政治献金」として無罪を主張した。しかし判決は、領収書を作成せず、政治資金収支報告書にも記載していない矛盾を突き、「一般常識からかけ離れた弁解」と一蹴した。

 公判では、訴追された以外に計1300万円を元代表から受けた事実も明るみに出た。これも「裏金」で、倫理観の欠如は甚だしい。政官業の癒着の温床となる企業・団体献金の禁止などの議論を深める必要がある。

 一方、元農相から金銭を求めるような行為はなく、政策判断に影響しなかったとして執行猶予を付けた。農水省の第三者委員会がまとめた調査報告書でも「政策がゆがめられた事実は確認できなかった」と結論づけた。ただ元農相ら当事者を調査対象から外しており、公正性が保たれているとは言い難い。

 元農相は健康上の理由で自民党衆院議員を辞したが、国民への説明責任を果たしていない。自ら真相を明らかにすべきだ。

 「政治とカネ」に絡む与党の不祥事が後を絶たない。参院選広島選挙区の大型買収やカジノ事業を巡る汚職、新型コロナ関連融資の違法仲介で、元国会議員が有罪判決を受けた。

 「自民1強」が招いた政治の劣化は目を覆うばかりだ。国民は不信を一層深めている。岸田文雄首相の責任も重い。首相は、政治の信頼回復へ指導力を発揮しなければならない。

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