社説

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 品質の高さを看板にする大手メーカーのずさんな実態と自浄能力の乏しさに、あきれるほかない。

 鉄道車両向け空調機器の検査不正が2021年6月に発覚したことを受け、国内22カ所の全工場の調査を進めている三菱電機で、新たに検査や設計の不正が判明した。計15カ所で101件に上り、うち兵庫県内は尼崎や三田など7カ所、74件だった。創業の地である神戸製作所(神戸市兵庫区)でも見つかった。

 外部の弁護士らでつくる調査委員会がこのほど、第3弾となる報告書をまとめた。今回を含め、不正行為は全工場の7割を超える16カ所で計148件となった。1970年代に始まり、事態が明るみに出た後も今年5月まで続いていた。

 不正はカーナビをはじめ、自動車のエンジンバルブ、原発向けの変圧器、エレベーター部品などの幅広い製品に及ぶ。当初、調査委員会は4月に調査を終える予定だったが、5月に入っても発覚が続き、今秋ごろまで期間を延ばした。問題の根は深い。調査を尽くし、うみを出し切らねばならない。

 必要な試験をせずにうその書類を作る、顧客の指定と異なる設計で製造する、検査の実測値を書き換える。こうした行為が、人員や設備の不足、コスト削減などを理由に繰り返されていた。管理職が不正を指示したケースもあり、組織ぐるみの関与が認められる事態は深刻だ。

 このたびの報告書は、「自分たちの品質に問題はない」とのおごりが製造現場にまん延していた状況を改めて浮き彫りにした。検査を軽視し、やがて不正行為を無自覚に正当化するようになったと指摘した。

 加えて、「言ったもん負け」の組織風土があるとした。現場担当者と管理職の意思疎通が不十分で、多くの従業員が「上司に不正を報告しても責任を押しつけてくるだけ」と答えたという。工場と本社間の信頼関係も薄かったようだ。現場の問題をすくい上げ、一緒に解決を図る体制がなぜ築けなかったのか。経営陣は猛省が必要だ。

 見過ごせないのが、これまでの再発防止策について「具体的な中身がよく分からない」と回答した従業員がいることだ。信頼回復には抜本的な組織改革が不可欠だが、本社からの一方通行では効果は上がらない。現場が「わがこと」として受け止められるような工夫や働きかけが、いっそう求められる。

 近年、「名門」とされる大企業で品質不正の発覚が相次ぐ。三菱電機と同じ課題を抱えるメーカーもあろう。経営陣のリーダーシップの下、不正の芽を摘む仕組みが機能しているか改めて点検してほしい。

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