社説

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 週刊誌にセクハラ疑惑を報じられた細田博之衆院議長への不信任決議案は与党などの反対多数で否決された。だが、高い見識を求められる立法府の長にふさわしくない言動を巡る不信感が消えたわけではない。

 セクハラは相手の尊厳を踏みにじる重大な人権侵害であり、事実なら許されない。疑惑を持たれたままの議長が、国会でジェンダー平等や女性活躍の議論をけん引できるのかは大いに疑問だ。細田氏は自ら事実関係を明らかにする責任がある。

 疑惑は週刊文春が報じた。「今からうちに来ないか」「添い寝するだけだから」などと深夜に自宅に呼び出されたとする複数の女性記者の証言を掲載している。自民党職員も被害に遭ったという。

 細田氏は「事実無根」と否定するが、野党が求めた国会での説明には応じず、記者会見も開いていない。出版社に抗議文を送り、国会閉会後に法的措置を取るというが、疑惑を打ち消す根拠にはならない。

 自民党出身の細田氏は議長就任に伴い党を離れているものの、幹事長など要職を歴任し、党内最大派閥を率いた重鎮だ。記者には重要な取材対象であり、党職員にとっては上司でもあった。その立場を利用して女性を誘ったとすれば悪質である。

 説明責任を果たせないなら、議長の職にとどまるべきではない。

 自民党は、岸田文雄首相が党総裁選で提唱した党改革への行動指針を先月作成し、「社会規範の遵守(じゅんしゅ)徹底」を掲げた。首相は党総裁として、細田氏に丁寧な説明を求めるなど厳正に対処するべきだ。

 細田氏は議長就任後、衆院小選挙区定数の「10増10減」について「地方いじめだ」として異論を唱えた。最高裁が違憲状態と判断した「1票の格差」を2倍未満に抑えるため、与野党が2016年に導入を決めた「アダムズ方式」に沿って算出されたのが10増10減だ。細田氏は同方式導入の提案者の一人だった。

 国会合意の経緯と最高裁の判断を軽視する振る舞いで、公正中立な議事運営をつかさどる議長の立場を逸脱していると言わざるを得ない。

 先月には、「月100万円未満の手取りの議員を多少増やしたって罰は当たらない」などと発言し、物議を醸した。地方の国会議員が減る一方でいいのかという問題提起のつもりでも、コロナ禍と物価高に苦しむ国民の感覚とはかけ離れている。

 年600万円を超える期末手当や領収書不要の「調査研究広報滞在費」などさまざまな議員特権には言及せず、批判を浴びたのは当然だ。

 問われているのは議長の資質である。参院選を前にした与野党の駆け引きで済ませていい問題ではない。

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