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 出生数の減少に歯止めがかからない。厚生労働省が発表した2021年の人口動態統計(概数)で、出生数は81万1604人と最少を更新した。前年より約2万9千人減り、80万人の大台割れが目前に迫る。減少のペースは国の5年前の推計より6年も早く、深刻な事態だ。

 1人の女性が生涯に生む推定人数である「合計特殊出生率」も6年連続で減少し、1・30となった。兵庫は1・36だった。

 このまま少子化が加速すれば、年金や介護など社会保障制度を支える現役世代の確保が難しくなり、経済や国の財政にも大きな影響を及ぼす。

 国や自治体などは出産や子育ての支援策に取り組んできたが成果は出ていない。来春には「こども家庭庁」が創設され、少子化対策も担う。安心して産み育てられる社会の実現へ、従来の政策を見直し、必要な財源の確保に本腰を入れるべきだ。

 21年の婚姻件数は約50万組で、前年より2万組減り、戦後最少だった。コロナ禍で外出や会食などが制限され、出会いの機会が減った影響もあるだろう。

 第1子出産時の母親の平均年齢も30・9歳に上昇し、過去最高となった。厚労省は20代の出生率低下が影響していると分析する。結婚や出産を望んでも、経済的な不安定さや育児と仕事の両立の難しさなどから、ためらう人が多いのではないか。

 若者の雇用を安定させ、子育てにかかる負担を軽減しなければならない。国や経済界などは、若い世代に多い非正規労働者の正社員化や職業訓練を進め、賃上げを図るなど、就労環境や収入を改善する必要がある。

 男は仕事、女は家庭という性別役割分担も課題だ。女性に家事や育児の負担がのしかかり、キャリアを積みたい人が出産を遠ざける要因となっている。

 地方では、大学などを卒業した女性が活躍の場を求めて都市部に転出し、男女の人口比の均衡が崩れている。統計でも兵庫など38道府県で女性の転出が転入を上回る。女性が地方でキャリアを積める方策が不可欠だ。

 結婚や出産は個人の選択だが、現状は放置できない。希望する多くの人の思いがかなえられるよう、官民が協力し、抜本的な対策を急がねばならない。

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