社説

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 ロシアのウクライナ侵攻が始まって100日余りが過ぎた。ロシアは当初の目標とした東部2州の完全制圧に向け支配地域を広げているが、ウクライナ側の激しい抵抗に遭い、戦況は泥沼化しつつある。

 双方の戦死者は2万人を超えたとされる。子どもを含む民間人の犠牲も2万3千人以上とされ、連日おびただしい血が流れている惨状だ。

 看過できないのは、ともに破壊力の高い最新兵器を投入し、人命が奪われ続けていることである。

 米国のブリンケン国務長官は「即時停戦」を要求する声明を発表した。だが、米国や欧州諸国は同時にウクライナに武器供与を継続しており、ロシアは反発して攻撃対象の拡大を示唆している。このままでは戦闘はさらに激化するだろう。

 他国の主権や領土の一体性を侵害する行為は、もとより国際法や国連憲章に違反する。ロシアに重大な非があることは言うまでもない。

 ただ、ロシア側も1万5千人以上の兵士を失い、10年に及んだ旧ソ連時代のアフガニスタン軍事介入に匹敵する損害を3カ月間で被ったとされる。ウクライナ軍の戦死者も1万人前後に達するという。

 ロシアのプーチン政権は全ての軍を撤収させ、不毛な戦闘は直ちにやめるべきだ。国連や交渉仲介に当たる国々は、これまで以上に停戦実現に尽力しなければならない。

 国連機関によると、国外への避難民も700万人を超えている。ほぼ同数の人たちが国内に避難し、避難民の総数は全人口の3割に相当する。日本にも千人以上が救いを求め、国や自治体などの支援を受けている。兵庫県内にも約50人が滞在しており、きめ細かく支えたい。

 一方、欧米諸国や日本などによるロシアへの経済制裁も一段と強化された。エネルギー源をロシア産石油に依存してきた欧州連合(EU)は輸入停止措置を発動し、日本も原則禁輸を表明した。

 ただ、制裁に伴う経済活動の停滞はエネルギー価格の上昇や物価高騰など負の影響を及ぼし、世界の食糧事情も次第に逼迫(ひっぱく)している。

 ロシアとウクライナは穀物の大産地で、小麦の輸出量は世界の3割を占める。輸送がほぼストップして価格が跳ね上がり、世界的な天候不順もあいまって中東・アフリカ諸国などは食糧危機に陥りつつある。

 長引く侵攻は、私たちの生活にも影を落としている。混乱が拡大すれば、生存を脅かす危機が全世界に波及する事態になりかねない。

 日本はこのほど、12回目の国連安全保障理事会の非常任理事国に選出された。国際社会の負託に応え、平和回復の取り組みを主導したい。

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