社説

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 物価高対策が参院選の大きな争点となっている。ロシアによるウクライナ侵攻などを背景に、日々の暮らしに欠かせない食料品やガソリン、電気などの値上げが相次ぎ、価格上昇は今後も続くとみられる。多くの国民が切実な思いで関心を寄せるのは当然である。

 生鮮食品を除く5月の全国消費者物価指数は、前年同月比で2・1%上昇した。伸び率は、約7年ぶりの大きさとなった4月と同じだった。2%上昇が1年続くと、2人以上の世帯の平均支出は、年に6万7千円増えるとの試算がある。

 このまま十分な賃上げが進まなければ、困窮する人が増加し、個人消費は冷え込む。コロナ禍からの回復の遅れも相まって、経済再生はさらに遠のきかねない。

 労働者の7割が働き、地域経済を支える中小企業にまで、賃上げの流れを波及させることが重要だ。併せて、所得の低い世帯に効果的に届く支援が急がれる。

 各党が公約に掲げる物価対策は、大きく二つに分かれる。与党の補助金による燃料価格抑制と、野党が主張する消費税の減税や廃止による国民負担の軽減である。

 ガソリン代補助は、対症療法の域を出ず、高所得者も恩恵を受ける。減税については、インフレの抑制効果はないと指摘する専門家が少なくない。そもそも消費税は、年金、介護、医療などの社会保障に充てられている。税収を減らすのであれば、代替財源の確保とセットで議論するのが筋ではないか。

 肝心の賃上げでは、与党が補助金や税制で中小企業が賃上げしやすい環境を整えるとしている。一方、野党の多くは最低賃金の引き上げを盛り込み、時給1500円などの目標額を示す。物価上昇率を上回る賃上げへの道筋をどうつけるのか、各党は政策論を戦わせてほしい。

 勤労者世帯の家計に関して、見過ごせないデータがある。学習塾や家庭教師の月謝などの教育関連支出が、高所得世帯ではコロナ禍前の2019年より21年の方が5%増えた。それに対して、低所得世帯では15%減った。「家計の聖域」といわれる教育費を削らざるを得ないほど、低所得世帯が物価高に苦しんでいることがうかがえる。

 みずほリサーチ&テクノロジーズ(東京)の太田智之チーフエコノミストは「物価高が教育格差をさらに広げる恐れがある。困窮家庭へのきめ細かな支援を欠けば、社会の活力をそぎ、分断を生みかねない」と警鐘を鳴らす。

 厳しい現状を乗り越えるためだけなく、若い世代の機会平等にも目配りした物価高対策を求めたい。

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