社説

  • 印刷

 先進7カ国首脳会議(G7サミット)と北大西洋条約機構(NATO)首脳会議が、ドイツとスペインで相次ぎ開催された。岸田文雄首相も出席し、ウクライナへの支援とロシアに対する制裁強化を軸に、米国を中心とする結束を改めて打ち出す場となった。歴代首相で初めて臨んだNATO首脳会議では、欧米などとの連携に期待を表明した。

 今回、ロシアに加えて、軍事的に台頭する中国への対応が共通課題とされたのは、世界的に分断と緊張が高まる現状の反映だろう。

 重要なのは、米国を中心としたG7などの結束が、危機回避や平和の回復につながるかどうかだ。

 ウクライナ侵攻が長期化する様相を見せる中、各国の「支援疲れ」も指摘されている。戦闘がいたずらに長引く事態は避けねばならない。

 「ロシアは正当化できない違法な戦争を仕掛けている」。G7の首脳声明はロシアの侵攻を厳しく非難した。制裁拡大として、ロシアから輸入する石油の取引価格に上限の設定を検討する、などとした。

 さらに世界的な食料危機の対策として、45億ドル(約6100億円)の追加拠出を発表した。

 ロシアは「米欧などの制裁が食料危機を招いている」と批判する。制裁による「負の側面」を解消する手だてが今回、G7側に強く求められたのは間違いない。

 発展途上国のインフラ整備に5年間で最大6千億ドル(約82兆円)を投資すると表明したのも、国際世論を意識した対応だろう。

 気候変動対策に意欲的な国を結集した「気候クラブ」設立や、新型コロナウイルスのワクチンを平等に利用する枠組みづくりなど、地球課題への取り組みもアピールした。

 議長国ドイツのショルツ首相は「(ロシア大統領の)プーチンを勝利させてはならない」と強調した。そのためにも「民主主義の結束」を示す必要があったと言える。

 一方、NATO首脳会議では、北欧のフィンランドとスウェーデンの加盟申請をトルコが容認した。クルド人反政府勢力を支援しないとのトルコの求めに応じた結果とされる。安全保障は喫緊の課題だが、それと引き替えに欧州の人権保護政策が後退しないかが気がかりだ。

 NATOは今後10年の指針となる「戦略概念」も改定し、「戦略的パートナー」としてきたロシアを「最大かつ直接の脅威」と明記した。NATO拡大に対し、ロシアは何らかの対抗措置を取ると明言している。

 力と力の対決だけでは、緊張緩和につながらない。G7やNATOは、対話による危機回避の長期戦略も練り上げる必要がある。

社説の最新
もっと見る
 

天気(8月14日)

  • 32℃
  • 28℃
  • 40%

  • 33℃
  • 25℃
  • 50%

  • 33℃
  • 27℃
  • 40%

  • 33℃
  • 26℃
  • 40%

お知らせ