2024年 環は7蔵元に
資源循環の
お酒をご紹介
します
有機物のごみ=エネルギーの塊
この日本酒は「地エネと環境の地域デザイン協議会」(事務局・神戸新聞社)から生まれました。エネルギーと環境の視点から新しい地域デザインを描くSDGsプラットフォームとして2019年に発足。地域のエネルギー「地エネ」をテーマとしたシンポジウムやツアーを開催し、会員には地エネメルマガを配信しています。
プロジェクトは、地エネ協議会に参加する1酪農家、3山田錦生産者、4蔵元の連携で2020年にスタートしました。私たちが目を向けたのは、人の「食べる」営みから日々発生している膨大なごみです。規格外で商品にならない農産物、家畜のふん尿、魚のあら、食品工場の廃棄物、下水など、市民があまり目にすることがないまま廃棄されているものも少なくありません。ですが、エネルギーの視点でみれば、まだカロリーや栄養が残る有機物の塊です。

消化液-有機肥料となる副産物
静かに広がるバイオガス事業
あまり知られていませんが、燃やすなどして処分されてきたこうした「ごみ」を資源として捉え直し、発酵させて取り出したバイオガスを利用する取り組みが少しずつ増えています。多額のごみ処理費の削減やガスによる熱や電気の自給を目的に、食品工場、レストランなどが集積する高層ビル、下水処理場などで導入されています。
この発酵過程では消化液という有機肥料となる副産物も発生します。バイオガス事業の取り組みが進む欧州などでは、優れた液体の肥料として農作物の栽培に利用されていますが、残念ながら、日本では多くの施設で捨てられている状況です。
サステイナブルな酒米づくり
酒米山田錦を
消化液で育てる

膨大なごみとその処理費を減らし、資源循環と自然エネルギーへの転換を進めるバイオガス事業を広げていくための鍵となるのが、この消化液の農業利用です。その現場の一つとして選んだのが、酒米を育てる水田でした。背景には、海外での人気が広がりはじめた日本酒へのニーズがあります。
地球温暖化など気候変動への危機感が強い欧州では「サステイナブル(持続可能性)」が重視され、輸出する日本酒にも地球環境に負荷をかけないものづくりが求められるようになっています。
しかし、日本酒の原料である酒米ではそうした世界の潮流を意識した取り組みはあまり進んでいません。そこで、海外から求められるオーガニックや資源循環、生物多様性などを重視したサステイナブルな酒米づくりを、この消化液を生かして広げられないかと考えました。
協議会の前身の実行委員会の立ち上げ時からのメンバーで、バイオガス事業に取り組んでいる弓削牧場(神戸市北区)で生産する消化液を使って2020年度の山田錦栽培をスタートしました。
「地エネの酒」のツアー、セミナーも
取り組みは神戸新聞朝刊の連載「地エネの酒 for SDGs」=(1)眠れる資源、(2)バイオガス、(3)サスティナブル、(4)消化液、(5)無農薬への挑戦、(6)地球温暖化、(7)循環型社会=で紹介。酒米山田錦の農家と蔵元が登壇するセミナーも開催しました。
2022年からは、消化液を供給する酪農家は2軒、酒米を栽培する生産農家は5軒、「環」を醸造する蔵元は6蔵に増えました。
5軒の農家は消化液を「有機肥料」として活用したり、水田の有機物を分解する「微生物資材」として投入するなど、さまざまな利用法によって、無農薬栽培や減農薬栽培に取り組んでいます。
2024年10月からは、「大関」「櫻正宗」「福寿」「盛典」「富久錦」「白鷺の城」「播州一献」の7銘柄の「環」が本格販売されます。
今後も、消化液の生産、山田錦栽培や酒づくりの現場を訪ねるツアーや、地エネの酒を楽しめるイベントなどを随時行っていきますので、ご期待ください。
詳しくは「地エネnote(https://note.com/chiene)」のページへ
商品概要
- 商品名
- 地エネの酒 環(めぐる)
大関「大関」(純米吟醸)
櫻正宗「櫻正宗」(純米吟醸)
神戸酒心館「福寿」(純米吟醸)
岡田本家「盛典」(生酛純米吟醸)
富久錦「富久錦」(生酛純米吟醸)
田中酒造場「白鷺の城」(純米吟醸)
山陽盃酒造「播州一献」(純米吟醸) - 原料米
- 兵庫県産山田錦
弓削牧場(神戸市北区)のバイオガス製造に伴う「消化液」(有機JAS認証)または、箸荷牧場(多可町)のバイオガス製造に伴う「消化液」を使用。 - 酒米生産
- 豊倉町営農組合、株式会社ten(加西市)、「中大沢集落改善組合」(神戸市北区)、玄米家(加東市)、ツクダ酒店(西脇市)
- 精米歩合
- 60%
- 価格
- 2,200円(税込)


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