2017年世界陸上男子400メートルリレー銅メダリスト(関西学院大学法学部卒業)
多田修平さんに聞く

何か得るには  つらい時期も

▽ただ・しゅうへい
1996年、大阪府東大阪市出身。大阪桐蔭高校を経て関西学院大学法学部へ。2017年、世界陸上競技選手権大会400メートルリレーで銅メダルを獲得。18年、関西学生陸上競技対校選手権大会100メートルで、55年ぶりとなる大会4連覇を達成。19年、住友電気工業株式会社入社。

多田修平さんは関西学院大学の3年生だった2年前、100メートルの記録を一気に10秒0台に縮め、逸材ひしめく日本陸上男子短距離界で注目を集めた。今春から新社会人としてスタートを切ったばかりの多田さんに大学時代を振り返ってもらった。

陸上の環境考え大学選択

―新社会人としてスタートを切ってまだ数カ月。どのような生活を送っていますか。

織田記念国際陸上男子100メートル決勝 2位に入った多田修平選手=4月、エディオンスタジアム広島 織田記念国際陸上男子100メートル決勝 2位に入った多田修平選手=4月、エディオンスタジアム広島 大学時代は大阪の実家で暮らしていましたが、入社してから練習拠点が東京に移り、初めての1人暮らしを経験しています。料理も自炊しているのですが、食器洗いがどうにも苦手です(笑)。幸い陸上に専念できる環境を用意していただいており、今年は良い形でシーズンのスタートを切ることができました。6月末の日本陸上競技選手権、9月から10月にかけての世界陸上競技選手権(カタール・ドーハ)に照準を合わせ、調整していきます。

―今の速さにつながるきっかけは?

鬼ごっこが大好きで、小学校の頃の駆けっこは学年で3番目くらいでした。中学校で陸上部に入ったのですが、単に走ることが好きなだけで目立った成績は残せませんでした。転機は、高校の陸上部で顧問の先生から練習日誌をつけるよう勧められたことです。大きな目標をまず決めて、それを踏まえて1カ月、今日と小さな目標を立てていくんです。毎日書き続けることで、頭の中に自然と目標とやるべきことが刷り込まれていきました。全国大会に出るためには県大会、近畿大会を勝ち抜かないといけないということもそこで初めて知りました(笑)。そして、高3の高校総体で全国6位の成績を残せるまでになりました。

―大学選びは。

2017年6月の日本陸上競技選手権男子100メートル決勝。当時関学大3年の多田修平選手は、サニブラウン・ハキーム選手(右)に次ぐ2位。左は桐生祥秀選手=ヤンマースタジアム長居 2017年6月の日本陸上競技選手権男子100メートル決勝。当時関学大3年の多田修平選手は、サニブラウン・ハキーム選手(右)に次ぐ2位。左は桐生祥秀選手=ヤンマースタジアム長居 関西が好きでしたし、練習のための環境を考えると実家から通いたいと思っていたので、関西の大学の中で陸上競技の強い大学を探し、高3の5月くらいには推薦で関学に行くことを決めました。といってもまだ総体で好成績を出す前だったので、スポーツ推薦でもなく一般の推薦枠です。総体後に強豪大学から声を掛けけていただきましたが、初志を貫きました。

―大学生活はいかがでしたか。

大学は社会に出る準備期間と位置付け、そのために自立心を養う場と考えて入学しました。陸上部は学生主体で自分たちで練習メニューを考えながら大会に臨むやり方が自分に合っていました。高校時代には取り組んでいなかった筋力をつけるトレーニングも始め、50キロ台だった体重は65キロを超えるまでになりました。その成果が実を結んだのが3年生の時です。シーズン前半に10秒7台だった記録が、夏から秋にかけて10秒0台まで伸びました。春の大会で大きく水を開けられていた桐生(祥秀)さん(前日本記録保持者)に、6月の日本選手権で勝てたことは自信になりました。

―勉学の方は。

学業との両立を自分でも目標にしていたのでおろそかにすることはありませんでした。練習で疲れているので家に帰ってからはご飯を食べて寝る生活でした。なので授業は集中して臨み、試験前には図書館や空き教室で練習の合間に5、6時間勉強していました。政治学のゼミでは何度か発表をする経験を通じて人前で堂々としゃべれるようになりました。なにより、ゼミや体育会の活動を通じて知り合った友達が財産です。

―大学4年生の時には芳しい成績が出ませんでした。

3年生の時に注目を浴びて、4年生のシーズンでは当初から記録を出していかないとという気負いがありました。ライバル選手が春からいいタイムを出していたので焦りも出て、本来やらなければいけない練習メニューができず、調子に乗り切れないままシーズンが終わってしまいました。ただ、東京オリンピック・パラリンピックのことを考えると、その時につまずく経験をしておいて良かったなと。周囲に振り回されることなく、自分がやるべきことをやるという気づきが得られました。これも学生時代の貴重な経験です。

―これからの目標は。

東京オリンピック・パラリンピックの陸上男子100メートルでメダルを取ること、そして400メートルリレーで金メダルを取ることです。そのためにも6月の日本選手権で優勝し、その後の世界選手権でファイナリストになることを今年の目標に掲げています。

―高校生にメッセージを。

何かにたどり着くためにはつらい時期も乗り越えないといけない。昨年の僕がまさにそうでした。でもその先に楽しいことが待っているはずです。大学生活の4年間を大いに楽しんで、社会に出る力を大いに身に付けてください。僕自身、社会人になって、より充実した陸上生活を送っています。

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