「新聞感想文コンクール」

生きるということ

黒石莉央(くろいし・りお) 兵庫県立西宮甲山高2年

「今を大切に生きてね」

 記事から祖母の声が聞こえてきた気がした。

 曽祖母は、昭和20年8月8日、長崎市内から佐賀へ戻っていたため、翌日の世界で2発目の原爆投下から逃れていた。長崎の変わり果てた惨状、亡くなった友人を思い、生き残った負い目を感じ苦しんでいたと祖母に聞いたのは、小6の夏休みだった。曽祖母に代わり、平和公園で手を合わせた。

 曽祖母の体験から70年の時が過ぎ、私はもう一度、同じ思いを見つけた。小6の時に訪れた時と変わらず写真の中の像は、静かに平和への願い、犠牲者への冥福を祈っている。そして86歳になっても生き残って申し訳ないという気持ちで足が不自由になっても毎年、折り鶴を作り続け、手を合わせ続ける岩本シゲ子さん。

 私は、生きるとは何かを考えさせられた。戦争で奪われた命、震災で奪われた命、事故で奪われた命、命が途絶える周りには、大切な命を惜しみながら残された人がいる。人が生まれてから命が終わるまで、どれだけの時間が与えられているのか誰も分からない。曽祖母のように奇跡的に生き、84歳までの人生を送る人もいれば、生まれて間もなく終わってしまう命もある。大げさに言えば、命を受ければ終りが来る、それは明日かも知れないと言うことだ。しかし、2人をはじめ、戦後を生き抜いた人には生きる力を感じる。広島や長崎の美しい街並みがそれを物語っている。

 命とはたくさんの人の命を受け継いで渡されたバトンのようなものだという詩のように、私は曽祖母が生き抜いてくれなかったら、ここに生まれてくる事はできなかった。私は母、母は祖母から、祖母は曽祖母からと果てしなくつながるバトンを受けた。粗末にしてはいけないし、せっかく受け継いだバトンなのだから、祖母の言ったように、今を大切に生きたい。
 昨年、神戸新聞社で高校生の座談会に参加する機会があった。その時は、税がテーマだったが、いつか平和について、命についても若い人たちで考えてみたいと思った。そして、この時の体験から、将来、いろんな人の思いを聞き取り伝える仕事がしたいと思った。新聞は、毎日、うれしいニュース、悲しいニュース、大きな事件から小さな出来事までを正確に言葉にして運んでくれる。岩本さんの、戦争はつらい、悲しい、駄目と訴えるのではなく生きるということを静かに訴えかける記事、こんな記事を伝えられるようになりたい。

 おばあちゃん、私は今を大切に生きているよ。そして目標を見つけたよ。


(8月10日付 神戸新聞から)
「生きるということ」



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 審査委員長講評 「読む。豊かな未来のために」


部門 受賞者(敬称略)
学校名・学年
作品の題名
神戸新聞社賞 小学校 1・2年 有本 理玖
関西学院初等部1年
「いっしょうのともだち」
小学校 3・4年 小西  舞
神戸市立高丸小学校4年
「平和をつくるって?」
小学校 5・6年 大牧 義生
小野市立市場小学校6年
「がんばれ播州そろばん」
中学 上山 翔悟
高砂市立高砂中学校1年
「生き物との共生」
高校 黒石 莉央
兵庫県立西宮甲山高等学校2年
「生きるということ」
兵庫県知事賞 小学校 1・2年 金澤 瑞輝
姫路市立香呂小学校2年
「ひょうごに新しゅの化石出げん!!」
小学校3・4年 藤原 菜杏
神戸海星女子学院小学校3年
「日本発祥 母子手帳」
小学校5・6年 谷口 加奈子
神戸市立池田小学校5年
「少子化について」
中学 桾本 紫月
加東市立東条中学校3年
「将来のために」
高校 高司 暖子
雲雀丘学園高等学校2年
「地方紙の魅力」

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