「新聞感想文コンクール」  

傘に思いをのせて

谷口向日葵(たにぐち・ひまり) 愛徳学園小学校 6年

 善意って一体何だろう、この記事を読んで私は自分に問いかけました。今まで、善意とは他人を思いやる心、自分に出来る善い行い、その様な温かいイメージを持っていたのですが、その気持ちに少し暗い影のようなものが、じんわり心に広がってきたのです。その記事は、次のような内容です。

 福井市の仁愛女子高校の生徒が突然の雨でずぶぬれのお年寄りを見て、生徒会で声をかけ愛の傘を始めました。駅など二百本の傘を置きますが、一か月後には9割が戻りませんでした。その後も返却率は上がらず、くしくも十年を区切りに幕を下ろすことになりました。この記事を読み、私はなぜ傘を返さない人が多くいるのか疑問に思いました。借りた物を返すという事は当たり前の事なのに、傘を返してもらえず続けられない事で、諦めてしまうのは、悲しい事だと思いました。

 そこで、私の住んでいる街でも愛の傘のような試みが行われているのかを、調べてみました。神戸電鉄では、各駅に忘れ物の保管期限を過ぎた傘を置いているそうです。この取り組みは、今後も続けていくと、職員の方にお聞きしました。神戸市営地下鉄では、学園都市、名谷、妙法寺、板宿の各駅に善意の傘が置かれています。こちらも同じく、忘れ物の傘を利用されているそうです。その中の、妙法寺駅に傘の寄贈をされている所があると教えていただき、お話を伺うことが出来ました。それは、横尾老人クラブという所で、きっかけはそちらの会長ご夫婦が、横尾の町を神戸一美しくしたいと、ゴミを拾い始めた事でした。最初は、アルミのゴミを集め、売ったお金でバス停にベンチを寄贈し、余ったお金で傘の寄贈をされました。現在は地域で月二回清掃し、傘の寄贈を続けているそうです。

 ゴミを拾い、傘に形を変えて、無償の善意を人に与えていく。最初はご夫婦から、そして地域の人と共に、何年も自ら先頭に立ち人のために活動を続けておられる会長さんのお話を、私はもっと多くの人に知ってほしいと思いました。その姿を知ってなお、借りた傘を返さず平気な人がいるでしょうか。

 たった一本の傘にも、人を思いやる気持ちが込められていたのです。せっかくの善い行いや善意を、応えられなくても見返りを求めるものではない、他人の事を言っても仕方がない、と諦めてしまっては社会全体がどんどん息苦しく、つまらなくなってしまう気がします。知っている人からの優しさはもちろんですが、知らない人に親切にしてもらった時の嬉しさ、心温まる喜びは、誰もが経験した事があるのではないでしょうか。私はこの神戸が、愛の傘を常に見られる優しい街であり続けてほしいと思います。また、震災の時に多くの方からの善意を頂き、復興をとげた神戸に訪れて下さる人達にも、この愛の傘の存在を知ってもらい、再び愛の傘が善意の心と共に広がっていく事を、心から願っています。

 愛の傘、素敵な取り組みだと思いませんか


(7月16日付 朝日小学生新聞から)

 

※作品の題名をクリックすると神戸新聞社賞と県知事賞の作品を読むことができます。

審査委員長 秋田久子教授 講評 「気付き」、自分の言葉で残す  
部門 受賞者(敬称略)
学校名・学年
作品の題名
神戸新聞社賞 小学校 1・2年 羽田 晨之介
(はねだ しんのすけ)
神戸市立白川小学校2年
「がんばれ小さないのち」
小学校 3・4年 志比田 麗
加古川市立氷丘小学校3年
「しあわせ運ぶ宅急便」
小学校 5・6年 武田 紅葉
淡路市立学習小学校5年
「生き生き社員食堂」
中学 田尻 雅土
加東市立東条中学校1年
「姉の涙と甲子園」
高校 西尾 愛衣
関西学院高等部2年
「もう一度やりたい」
兵庫県知事賞 小学校 1・2年 矢本 杏璃
三田市立すずかけ台小学校2年
「おぼれたときのあいことばは『ういてまて』」
小学校3・4年 川上 紗季
豊岡市立日高小学校4年
「出産出来る病院がへっている」
小学校5・6年 谷口 向日葵
愛徳学園小学校6年
「傘に思いをのせて」
中学 泉 ひのわ
神戸市立布引中学校1年
「前向きに考えよう」
高校 柴田  華 
兵庫県立神戸高等学校1年
「今 私にできることは」

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