「新聞感想文コンクール」  

今私にできることは

柴田華 (しばた・はな) 兵庫県立神戸高等学校 1年

 夏休みも中盤に差しかかり、今年もまたあの夏の風物詩がやってきた。夏の全国高校野球
選手権大会。我が兵庫県からは、尼崎市立尼崎高校が三十三年ぶり二度目の出場を果た
した。

 市立尼崎高校野球部三年の三原伊織選手の記事を読んだ。小学一年生から野球を始め、甲
子園を夢見て一心に練習を重ねてきた三原選手。そんな彼の野球人生が今年二月の練習中に一転した。ウエートトレーニング中に走った激痛。医者には「夏の大会までに間に合わない」と言われ、甲子園という目標が遠のき、グラウンドにいる意味が分からなくなり、一時は練習に顔を出さなくなったという。が、家庭訪問した監督に諭され、彼は「何かできることを」と、試合の記録や飲み物の準備など裏方に徹したそうだ。試合は最前列で応援。「今できる最高の形が応援という彼の言葉に、私は強く感銘を受けた。

 私は中学生のときから高校生になった今も、陸上部に所属し、短距離を専門としている。だが今は走っていない。なぜなら、まだ高校の陸上部に入部して十日目ほどの練習中に太ももの肉離れを起こしたからだ。一カ月待てば治るだろうと、私は軽い気持ちで筋トレに励んだ。ところが復帰したその日、走り出した私の足に、また異変が起こった。一カ月前の肉離れはまだ完治していなかったのだ。この負の連鎖が三回ほど続いて今に至っている。三カ月経った今、試合に行っても一日中応援するだけで、同級生の仲間たちとの差がどんどん大きくなっていく状況にある私は、陸上部に入部した意味を見失っている。暑い中で練習に取り組んでいる仲間たちをただ見つめているだけで、トレーニングもお座なりだ。早く自分もみんなと走りたいとも思えない。
リレーメンバーに選ばれる仲間に対して、悔しい気持ちも湧いてこない。

 だがそんな私を、三原選手の記事は動かしてくれた。「何かできることを」―熱心にトレーニングに励む姿で、仲間の志気を高めたいと、以前よりももっと積極的に校内のトレーニングルームに通い、下半身強化に励むようになった。「今できる最高の形は応援」―つい先日行われた大会では、声を枯らすまで仲間に声援を送り続けた。こうして、いくらか気持ちは楽になり、神戸高校陸上競技部の一員として気持ち新たにまた日々努力しようと思えるようになった。

 市立尼崎高校は一回戦にして青森県の八戸学院光星に惜敗し、甲子園を去った。翌日の新聞には、平林投手の「声援が心に染みました。」のコメントが。正に、三原選手を含む応援団の声が届いたのだろう。私もけがが完治するその日まで、「できること」を積極的に実践していこうと思う。いつか仲間と共に汗を流しながら練習に打ち込める日を夢見て。

(8月8日付 神戸新聞から)
「今私にできることは」

 

※作品の題名をクリックすると神戸新聞社賞と県知事賞の作品を読むことができます。

審査委員長 秋田久子教授 講評 「気付き」、自分の言葉で残す  
部門 受賞者(敬称略)
学校名・学年
作品の題名
神戸新聞社賞 小学校 1・2年 羽田 晨之介
(はねだ しんのすけ)
神戸市立白川小学校2年
「がんばれ小さないのち」
小学校 3・4年 志比田 麗
加古川市立氷丘小学校3年
「しあわせ運ぶ宅急便」
小学校 5・6年 武田 紅葉
淡路市立学習小学校5年
「生き生き社員食堂」
中学 田尻 雅土
加東市立東条中学校1年
「姉の涙と甲子園」
高校 西尾 愛衣
関西学院高等部2年
「もう一度やりたい」
兵庫県知事賞 小学校 1・2年 矢本 杏璃
三田市立すずかけ台小学校2年
「おぼれたときのあいことばは『ういてまて』」
小学校3・4年 川上 紗季
豊岡市立日高小学校4年
「出産出来る病院がへっている」
小学校5・6年 谷口 向日葵
愛徳学園小学校6年
「傘に思いをのせて」
中学 泉 ひのわ
神戸市立布引中学校1年
「前向きに考えよう」
高校 柴田  華 
兵庫県立神戸高等学校1年
「今 私にできることは」

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