「新聞感想文コンクール」  

三十一センチの髪の毛、つながる絆

山本 柚葉(やまもと・ゆずは) 三木市立緑が丘小学校 6年

 「私の髪の毛を三十一センチ切って下さい。」今、私が一番言いたい言葉だ。
 三年前、私は、神戸大学医学部附属病院で、歯科の手術を受けるために、五日間入院した。入院、手術、全身ますい等の全てが初めてで、不安と怖さでいっぱいだった。入院の日、暗い気持ちで、小児病棟の入院する部屋に入った。お医者さんや看護師さん達が、丁ねいに優しく、笑顔で手術の説明を分かりやすくしてくれた。その時は、安心したけれど、それでも、やはりどうして私が手術なんてしないといけないのだろうと、怖くて不安で泣きそうだった。
 そんな時、中学生くらいの女の子が、
「大丈夫?これ、あげるよ。」
と、声をかけてくれた。見てみると、きれいな和紙で作られた折り鶴だった。病院で、知らない女の子から声をかけられ、きれいな折り鶴をもらって、驚いたけれど、何だか心がほっこり温かくなった。とても嬉しかった。
 その中学生くらいの女の子は、私が入院している間中、いつも毛糸の帽子をかぶっていた。外ではないし、冬でもないのに、なぜ帽子をかぶっているのか不思議だった。
 私の手術が無事終了し、退院してから、なぜ女の子は帽子をかぶっていたのか、お母さんに教えてもらった。小児ガンという病気は、抗がん剤という薬の影響で髪の毛が抜けてしまうらしい。また、私が手術室へ行く時、一緒に手術室まで歩いて行った、五才くらいの元気な男の子は、筋ジストロフィーという筋力が徐々に低下していく難病にかかっているとの事だった。
 私は、その話を聞いた時、しょう撃を受けたが、日々を過ごす中で、すっかり忘れてしまっていた。しかし、この新聞記事を読んで、私の中で、すっかり過去となっていたその時の事が、昨日の事のように思い出された。
 私が出来る事、私の髪の毛をのばして、三十一センチ切って寄付をしたい。そして、ヘアドネーションをもっと広く皆に知ってもらいたい。優しくしてくれた女の子のような病気の人達の役に、少しでもたてるのなら…。
 私は、来年の三月、小学校を卒業する。今まで私一人の力で大きくなった訳ではない。私は、いつも、家族や学校の友達、先生方、地域の方、そして私が出会ったたくさんの人達に助けられ、支えられ、見守られて成長してこられたのだと気付いた。
 今ある幸せに感謝して、これからも、人と人との絆を大切にしていきたい。不安だった私に声をかけて折り鶴をくれた女の子のように、優しく、強い人になりたい。そしていつか、私が、誰かを支え、その人の役に立てるように、たくさんの人と出会い、これからも成長していきたい。将来、私の夢である医者になって、難病といわれる病気を治せるように研究し、人の心に寄りそっていけるようになりたいと心から思った。


(7月14日付 神戸新聞から)
「三十一センチの髪の毛、つながる絆」「三十一センチの髪の毛、つながる絆」

 

※作品の題名をクリックすると神戸新聞社賞と県知事賞の作品を読むことができます。

神戸松蔭女子学院大学 秋田 久子教授 講評 「私の記事」は生きた教材  
部門 受賞者(敬称略)
学校名・学年
作品の題名
神戸新聞社賞 小学校 1・2年 吉森 灯
神戸市立雲中小学校・2年
「きたのを歩いて」
小学校 3・4年 小柳 朝陽
神戸市立井吹の丘小学校・4年
「給食のアイドル」
小学校 5・6年 山本 柚葉
三木市立緑が丘小学校・6年
「三十一センチの髪の毛、つながる絆」
中学 成川 央庸
神戸大学附属中等教育学校・3年
「障害を見つめ直す」
高校 林 那帆
兵庫県播磨高等学校・1年
「高齢者を大切に」
兵庫県知事賞 小学校 1・2年 宇根 良翔
洲本市立洲本第三小学校・1年
「ぼくのつうがくろ」
小学校3・4年 永野 友愛
神戸市立舞多聞小学校・4年
「広まれ!AED」
小学校5・6年 細尾 瞭
姫路市立八幡小学校・6年
「私と正平調の六年間」
中学 納田 彩香
賢明女子学院中学校1年
「高齢ドライバー」
高校 須賀原 翔
灘高等学校・1年
「あの日」

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