「新聞感想文コンクール」  

障害を見つめ直す

成川 央庸(なりかわ・よう) 神戸大学附属中等教育学校 3年

 顔の変形やあざ、脱毛などの外見に症状のある人への差別などを指す「見た目問題」。そんな問題があることを知ったのは、ほんの最近のことだった。自分の見た目で苦しんだ人たちの経験を知り、どうして彼らが苦しんでしまったのか、どうすれば差別をなくすことができるのかを考えた。
 自分の見た目を理由にいじめられたり、就職で差別されたり、街中でジロジロと見られたり。見た目にコンプレックスを持って生きてきた人はこのようにして傷つけられてきた。そのわけには、周囲の理解のなさだけでなく、人間の性質も関係していると思う。私たちには、自分と違うものを恐れ、排除してしまう癖があるのではないだろうか。それ故に、自分と違ったところのある人たちを受け入れることをためらってしまうのではないだろうか。
 私にはその経験がある。小学生の時、障害を持った子と同じクラスになったことがある。彼女に接することへの抵抗を感じて、避けてしまう時期があった。こうして距離を置いていくことが、最終的に排他的な意識を生んでしまう。そして、それのもたらすものこそが様々な差別なのだろう。
 では、その癖を抑えて、障がい者の人たちとの溝を作らず生きていくには、どうすればよいのだろう。私はそれを考えるにあたって、「障害とは何か」について考えた。辞典には体や知能の障害だけでなく、「何かをするのに邪魔なもの」やハードルなどで「乗り越えるためのもの」という意味もあった。改めてこの言葉の意味を知ると、「障害」は障がい者の人たちだけでなく、全ての人がそれぞれ持っているものなのではないかと思った。どんな人でも何かに挑戦するときに邪魔になるもの、つまり「障害」を持っているだろう。海外に飛び出すときの文化や言語の「障害」、夢の実現に立ちはだかる幾多の「障害」。目に見えるか見えないかの差はあっても、誰もがそれぞれに「障害」を持っているのではないだろうか。そして障害は、ハードル走をするように乗り越えていくものだ。
 ならば、その障害が目に映りやすいものだからというだけで、障がい者の人々を仲間外れにして良いわけがないではないか。彼らは健常者の知り得ない苦労をしてきている。そして、それと向き合い、前向きに生きている健常者は彼らを避けるのではなくむしろ、その姿に学び、自分たちの持つ「障害」に立ち向かっていくべきなのだと思う。
 私たちの目指すべき社会は、全ての人がそれぞれの障害を乗り越え、成長していけるような環境が用意されている世の中だと思う。そんな社会を創るには、バリアフリーの取り組みなどでは不十分だろう。健常者の人たちが、障がい者と自分を別物と考えるのではなく、自分と同じように成長し、共に生きていく人々だという意識を身に付けていく必要がある。そのためにすべきことを考えていかなくてはならない。


(7月26日付 神戸新聞から)
「障害を見つめ直す」「障害を見つめ直す」

 

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神戸松蔭女子学院大学 秋田 久子教授 講評 「私の記事」は生きた教材  
部門 受賞者(敬称略)
学校名・学年
作品の題名
神戸新聞社賞 小学校 1・2年 吉森 灯
神戸市立雲中小学校・2年
「きたのを歩いて」
小学校 3・4年 小柳 朝陽
神戸市立井吹の丘小学校・4年
「給食のアイドル」
小学校 5・6年 山本 柚葉
三木市立緑が丘小学校・6年
「三十一センチの髪の毛、つながる絆」
中学 成川 央庸
神戸大学附属中等教育学校・3年
「障害を見つめ直す」
高校 林 那帆
兵庫県播磨高等学校・1年
「高齢者を大切に」
兵庫県知事賞 小学校 1・2年 宇根 良翔
洲本市立洲本第三小学校・1年
「ぼくのつうがくろ」
小学校3・4年 永野 友愛
神戸市立舞多聞小学校・4年
「広まれ!AED」
小学校5・6年 細尾 瞭
姫路市立八幡小学校・6年
「私と正平調の六年間」
中学 納田 彩香
賢明女子学院中学校1年
「高齢ドライバー」
高校 須賀原 翔
灘高等学校・1年
「あの日」

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