「新聞感想文コンクール」

『あの日を背負って』を読んで

原田京珠(はらだ・みやび) 舞多聞小6年

 「あっ、知ってる。」
 私は明石歩道橋事故二十年という見出しに目を留めた。明石に遊びに行って歩道橋を渡る時にお地蔵様とお花が供えてあったのを覚えている。その時にお母さんに大きな事故が昔あったことを教えてもらったが、すっかり忘れてしまっていた。
 記事には、あの日、私と同じ小学六年生だった梶原さんの体験がつづられていた。地ごくのような光景が目にうかんで、梶原さんはどれだけこわい思いをしたのだろうと胸がしめつけられた。
 群衆なだれについては、東京直下型地しんで起こると予測されていると聞いたことがある。その時もこわいと思ったが、生々しく書かれてあった今回の記事を読んだ時の方が自分のことのように思えた。
 私はこの事故のことをもっとくわしく知りたいと思い、前日の新聞も引っぱり出した。わずか生後2カ月で事故にあい、犠牲者に救われた山下さんの話だった。山下さんを助けたおばあさんは事故で亡くなった。生かしてもらった感謝の気もちをもって生きている山下さんに比べて私は今が当たり前だと思ってくらしていた。この事故で生き方が変わった人たちがたくさんいることが分かった。
 どうしてこんな事故が起こったのだろう。翌日の記事は責任を問われた明石市の元幹部職員の話だった。加害者は意地悪な人だというイメージがあった。しかし、そうではなかった。警備計画に問題があったことが多くの人生を変えてしまった罪になった。事故の加害者は悪人とは限らないが、事故を起こしてしまったら一生背負わなければならない。
 私が読んだ三つの記事は、とても具体的な体験がかかれていた。毎日ニュースでいろいろな事故や事件を耳にするけれど、多くは印象に残らず通り過ぎていく。しかし、事故や事件に関わった人の思いを知ると、とても考えさせられる。つらく悲しい経験は思い出すだけでも苦しくなるだろう。私たちは彼らの話を聞くと事故を自分が体験したように思えて命の重みに気付かされる。
 明石歩道橋事故から二十年。私がうまれる前の知らなかった話だ。だが、忘れてはならない、繰り返してはならない事故だ。風化させないためには、思いを語りつぐことが大切だと思う。苦しい胸の内を打ち明けてくれたことに感謝したい。「今」は、当たり前のようにここにあるけれど、いつ失われるかもわからない。命の大切さを教えてくれたこの事故のことを私は決して忘れない。


(7月20日~22日付の神戸新聞・朝刊から)
「『あの日を背負って』を読んで」「『あの日を背負って』を読んで」

※題名をクリックすると講評と神戸新聞社賞・県知事賞の作品を読むことができます。

<審査委員長> 兵庫県NIE推進協議会 秋田久子会長 講評

コロナ禍通じ 社会への関心高く
部門 受賞者(敬称略)
学校名・学年
作品の題名
神戸新聞社賞 小学校1・2年 遠藤 実穂
西脇市立重春小学校・1年
「わくわくのみずたまいっぱい」
小学校3・4年 宮崎 りの
たつの市立揖保小学校・3年
「土用の丑とSDGs」
小学校5・6年 小柳 暖乃
神戸市立井吹の丘小学校・5年
「サル社会 初の『女性トップ』」
中学生 河野 克彦
蒼開中学校・1年
「アフガン政権崩壊とぼくの国際支援」
高校生 桑野 葵
神戸山手女子高等学校・3年
「思いをつなぐ使命」
兵庫県知事賞 小学校1・2年 有本 眞麻
関西学院初等部・2年
「わたしもやくに立てるかな」
小学校3・4年 前中 愛美
神戸海星女子学院小・4年
「障がいがある子もない子も遊べる『インクルーシブ遊具』広がる」
小学校5・6年 原田 京珠
神戸市立舞多聞小学校・6年
「『あの日を背負って』を読んで」
中学生 志賀 〓音 (注)〓は「伶」のつくりの下が「マ」
賢明女子学院中・3年
「シンコと共に生きる」
高校生 片瀬 奏磨
報徳学園高・2年
「長崎を最後の被爆地に」
 

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