「新聞感想文コンクール」

シンコと共に生きる

志賀〓音(しが・れおん) 賢明女子学院中3年
(注)〓は「伶」のつくりの下が「マ」

 私が今年のイカナゴのシンコ漁の話を知ったのは、漁が終わって数日経ってからだった。どうやら今年も不漁らしい。2017年からずっと不漁続きだというから、私たちが大人になるまでに春の食卓からイカナゴの釘煮が消えてしまうのではないかという不安が頭をよぎった。もちろん、不安なのは私だけではない。シンコ漁をする漁師さんや県の水産課の職員さん、そしてイカナゴを毎年楽しみにしている人々。沢山の人がシンコ漁の行く末を心配している。
 私は今後のイカナゴたちについて考えるために生産者と消費者、二つの目線から見ていくことにした。まず、晴れない心をスッキリさせるためにも、シンコ漁がなぜこんなに不漁続きなのかを調べてみることにする。そして私はその原因に目を疑った。
 第一に考えられるのは海がきれいすぎることだそう。「海ってきれいなほうがいいのでは?」「きれいなことはいいことではないの?」と思ったが、実はそうでもないらしい。高度経済成長期に多くの排水を海に流してしまったことで窒素やリンなどが大量に流れこみ、赤潮を引き起こした。これがきっかけで兵庫県の水質規定が厳しくなり、イカナゴが栄養源としていた栄養塩が大幅に減ったので、結果的に数が減っていった……ということだ。他にも夏眠のための砂が減ったことや水温上昇などといった原因からもわかるように、環境保全に努めていく必要があり、考えていかなければならない課題である。そして今述べたこれらの内容は生産者の目線だ。
 次に、消費者を取り巻く環境からシンコ漁について考えていく。毎年三月に春を告げる食材として市場に出回っているイカナゴや釘煮は全てが消費者の手に渡り、完食されているわけではない。それに不漁で値上がりしているから余計に食品ロスが目立ってしまっているように見える。私はこれも不漁の原因であるのではないかと感じた。この不漁問題は決して生産者にあたる漁師さんたちだけの問題ではない。
 このまま自分たちが消費する量以上のシンコを獲り続ければシンコもといイカナゴが減っていくことになるのは想像できる。ここで私たちが取り組まなければならないのは、食品ロスを減らすこと、つまり消費量以上のイカナゴや釘煮を買わないようにすることだ。シンコ不漁問題は県の職員さんや漁師さんだけでなく私たち県民が一丸となってシンコを守る活動をしていく必要がある段階に来ている。
 最後に、これらはシンコに限った話ではない。農産物も、畜産物も、イカナゴ以外の海産物も同じことだ。獲ることに直接関わっていない私たち消費者が、自らの食生活を見直しロスを減らすことで、守られる命や自然があることを忘れずに生活することが、最も大切だ。


(3月24日付の神戸新聞・朝刊から)
「シンコと共に生きる」「シンコと共に生きる」

※題名をクリックすると講評と神戸新聞社賞・県知事賞の作品を読むことができます。

<審査委員長> 兵庫県NIE推進協議会 秋田久子会長 講評

コロナ禍通じ 社会への関心高く
部門 受賞者(敬称略)
学校名・学年
作品の題名
神戸新聞社賞 小学校1・2年 遠藤 実穂
西脇市立重春小学校・1年
「わくわくのみずたまいっぱい」
小学校3・4年 宮崎 りの
たつの市立揖保小学校・3年
「土用の丑とSDGs」
小学校5・6年 小柳 暖乃
神戸市立井吹の丘小学校・5年
「サル社会 初の『女性トップ』」
中学生 河野 克彦
蒼開中学校・1年
「アフガン政権崩壊とぼくの国際支援」
高校生 桑野 葵
神戸山手女子高等学校・3年
「思いをつなぐ使命」
兵庫県知事賞 小学校1・2年 有本 眞麻
関西学院初等部・2年
「わたしもやくに立てるかな」
小学校3・4年 前中 愛美
神戸海星女子学院小・4年
「障がいがある子もない子も遊べる『インクルーシブ遊具』広がる」
小学校5・6年 原田 京珠
神戸市立舞多聞小学校・6年
「『あの日を背負って』を読んで」
中学生 志賀 〓音 (注)〓は「伶」のつくりの下が「マ」
賢明女子学院中・3年
「シンコと共に生きる」
高校生 片瀬 奏磨
報徳学園高・2年
「長崎を最後の被爆地に」
 

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