公演スケジュール

2020年10月24日(土)開場14:00 開演15:00
14:15~ 作曲家を交えた開演前のトーク

名倉誠人マリンバ・リサイタル
「バッハ・パラレルズ:コラールと舞踏組曲」

名倉誠人よりのメッセージ

 私が演奏活動で大切にしてきた柱は、「マリンバのための新たな作品の創造」と「バッハの音楽をマリンバでいかに演奏するか」の二つです。とても異なったように見えるこの二つの柱ですが、意外なところで互いに結び付き、新たな世界に目を啓(ひら)かせてくれる関係であるということを、近年強く感じています。

 現代の作曲家たちが私に新たな作品を書いてくれる際、五線紙に最初の一筆を下す前から、私は、積極的に創造に関わり、彼らがどのように心や頭脳を使いながら音楽を書いていくかを見つめてきました。この共同作業を何度も経て、バッハもきっと彼らと同じように作品を書いていったに違いない、という確信に至りました。その確信こそが、新たに見えてきた世界であり、さらには、バッハの音楽を解釈する時に、もう一歩踏み込みたいと思うようになった理由でもあります。
 今回の演奏会で演奏する、バッハの「無伴奏組曲ハ短調」は、元々チェロのために書かれた曲ですが、バッハ自身がリュート版も作っています。その二つを比べると、楽器の特性を最大限に引き出すために、バッハがいかに柔軟に作品を書き変えているかが、良く分かります。「バッハがこの曲をマリンバのために書いたとしたら、どういう風に書いただろうか?」と考える姿勢を保つことによって、もう一歩を踏み込めるのではないか、と思うようになりました。
 現代作曲家との創造作業では、彼らに提案したり、一緒に修正を考えたり、何度もやり取りを重ね、作品を仕上げて行きます。そこで見えてきたのは、作曲家という人たちは、非常に優秀な頭脳を持っているだけでなく、その頭脳はとても柔軟だ、ということです。こうした経験を持てたからこそ、「バッハがこの曲をマリンバ用に書き変えたなら、このようにしたのでは」と、次第に想像できるようになってきた、と感じています。

  今回の演奏会では、冒頭で述べた二つの柱を融合する企画を考えました。日米の作曲家二人に書いてもらった作品を、バッハの作品と平行(パラレル)に並べて演奏します。そして、それらは、バッハのコラールや舞踏組曲を元にして書いてもらった新たな作品です。
 バッハの音楽が、300年近い時を経て、なお現代の私たちの創造の源泉となり、そこから我々の時代の息吹を吹き込まれた新作が生まれ、それらを次世代へと受け渡していく――。クラシック音楽は過去の音楽ではなく、脈々と続くその流れの中に、今、我々は生きているのだ、というメッセージをこの演奏会で贈りたいと考えています。 

◆グランド・ヴァイブラフォーンについて
 ヴァイブラフォーン(音楽の教科書ではビブラフォン)は、長年3オクターブ(F33-F69)が標準の音域とされてきました。近年、日本の楽器メーカー斉藤楽器製作所が、世界最大音域の4.3オクターブ(A25-C76)を持つヴァイブラフォーンを開発しました。私は、その一台を所有し、この楽器のために新しい作品を作曲してもらったり、自身で編曲をしたりしてきています。
 斉藤楽器製作所は、残念ながら2017年に会社を閉めてしまいました(現在、数部門で事業を再開してきています)。それまでに、この楽器は12台ほど製作されたそうです。その内約半分が日本国内、残りは、世界各地に存在しています。非常に貴重な楽器の音色で、ラサー氏が私のために作曲してくれた「バッハへの返歌」をお楽しみください。

曲目 J.S.バッハ(1685-1750):無伴奏組曲ハ短調 BWV995/1011 **
J.S.バッハ/S. ラフマニノフ編曲:前奏曲ホ長調(マリンバ二重奏版) **
J.S.バッハ:三つのコラール(マリンバ独奏) **
フィリップ・ラサー(1963- ):三つのコラール前奏曲(マリンバ二重奏版・初演) **
鈴木純明(1970- ):アナバシスの泉、或いはソ、ラ、シ、ド、レ、ミによるカプリッチョ(マリンバ独奏) =世界初演= *
J.S.バッハ:コラール「われ満ち足れり」**
フィリップ・ラサー:バッハへの返歌~無伴奏フルート組曲によるハイブリッド変奏曲(2017)* (グランド・ヴァイブラフォーン版)=関西初演=

* 印は、名倉誠人による委嘱作品
**印は、名倉誠人による編曲作品
出演 名倉誠人(マリンバ・ヴァイブラフォーン)
ゲスト共演:小川佳津子(マリンバ)
料金 [全席自由] 
一般¥4,000 学生¥2,000(前売のみ)
友の会¥3,500(前売のみ)

    Lコード:53939

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