明石

  • 印刷
木村栄次さん(右)と随筆家岡部伊都子さん=1957(昭和32)年、明石公園(木村稔さん提供)
拡大
木村栄次さん(右)と随筆家岡部伊都子さん=1957(昭和32)年、明石公園(木村稔さん提供)
今年いっぱいで閉店する木村書店店主の木村稔さん=桜町
拡大
今年いっぱいで閉店する木村書店店主の木村稔さん=桜町

 明石駅前の銀座通りにある木村書店(兵庫県明石市桜町)が31日、83年の営業を終え閉店する。明石出身の歌人木村栄次さん(1904~92年)が開店し、作家の稲垣足穂、椎名麟三、今東光、歌人の竹中郁、随筆家の岡部伊都子さんらが訪れた。作家らの交流の拠点になるとともに、地元関係の書籍を積極的に出版、販売して明石の文学の発展に寄与した。栄次さんの次男で店主の稔さん(83)は「長い間、ここで買い続けてくれる人もいて申し訳ないが、本当にありがとうございましたの一言」と話す。

 同書店は、古書店として1934(昭和9)年に開店。45年の空襲や400戸以上が焼けた49年の大火を免れ、戦後は新刊本の販売に転換し、出版も手掛けた。栄次さんは歌人としても知られ、50年には歌集「軽塵」を同書店から発表。店に文人が集い、書家や郷土史家、歌を詠む県知事らとも交流するようになった。

 50年代前半に稔さんが2代目店主となり、高度成長期を迎えると、山岡荘八の「徳川家康」など歴史小説や兵庫の味覚を紹介した“グルメ本”などがよく売れたという。68年には、戦前の明石の様子を描いた稲垣足穂の「明石」(48年)を同書店が復刻。80年代は栄次さんが作家団体「明石ペンクラブ」の初代代表に就き、文芸誌「明石大門」の発行にも携わった。稔さんは「郷土の本を置くことがうちの看板」と考えてそろえ、それを目当てに来る客も多かったという。宣伝ポスターも自ら手書きした。

 第2次ベビーブーム世代が10代後半を迎えた80年代後半から90年代は、同書店2階に多くの受験生が訪れ、参考書を買っていった。

 一時は神戸市灘区にも店を持ったが、阪神・淡路大震災以降、徐々に売り上げが落ち、ここ数年は雑誌の販売も急減。家族に促されて閉店を決めたという。

 稔さんは「父への反発もあったが、その反発心で頑張ってこられた」と振り返り、「閉店で縁が切れるのはつらいが、遠方からわざわざ来てくれたなじみの人たちに感謝したい」と話している。(吉本晃司)

明石の最新
もっと見る

天気(12月10日)

  • 10℃
  • ---℃
  • 10%

  • 8℃
  • ---℃
  • 40%

  • 10℃
  • ---℃
  • 0%

  • 10℃
  • ---℃
  • 20%

お知らせ