明石

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多くの報道陣を前に記者会見する犯罪被害者の遺族ら=明石市役所
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多くの報道陣を前に記者会見する犯罪被害者の遺族ら=明石市役所
「明石市犯罪被害者等の支援に関する条例」の改正を受け、記者会見する曽我部とし子さん=明石市役所
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「明石市犯罪被害者等の支援に関する条例」の改正を受け、記者会見する曽我部とし子さん=明石市役所

 殺人など重大事件の加害者が被害者側に損害賠償金を支払わない場合、犯罪被害者支援のため、再提訴の費用助成を盛り込んだ兵庫県明石市の改正条例が23日、成立した。議論に参加した遺族4人が同市役所で会見し、「明石市は被害者や遺族の率直な声に耳を傾けた。全国の自治体が条例制定や見直しの手本としてほしい」と歓迎した。

 泉房穂市長は「支払い判決が出ているのに、平然と無視されているのは理不尽。行政に何ができるかを考えた」と改正の経緯を説明し、「被害者一人一人に寄り添う支援が重要」と述べた。

 1997年の神戸市須磨区の連続児童殺傷事件で次男の淳君=当時(11)=を失った土師守さん(61)は条例改正で、基本理念に被害者家族への支援が盛り込まれたことに顔をほころばせた。

 一方で、犯罪被害者支援や権利の確立などを目指して活動してきた全国犯罪被害者の会(あすの会)が6月に解散することについては、「被害者問題が全て解決したのではない。残った団体が課題をしっかり伝えていきたい」と口元を引き締めた。

 明石市は2011年、支援金や家賃補助などを行う市犯罪被害者等支援条例を施行。14年の改正で、裁判などで確定した賠償金が支払われない場合、300万円を上限に市が立て替える制度を導入した。

 今回の改正条例では、立て替え払いについて、導入後に適用例がないことなどから、加療1カ月以上の大けがや性犯罪被害者にも対象を拡大した。日常生活支援の申請期限を原則1年から同3年に延長し、家事援助や介護ヘルパー派遣などを利用しやすくした。

 ■犯罪被害者遺族の実情知ってほしい 通り魔殺人事件で長男亡くした曽我部さん

 明石市桜町で料理店を営む曽我部とし子さん(72)は、長男雅生さん=当時(24)=を通り魔殺人事件で奪われた。犯罪被害者が交流する冊子「風通信」を発行して約20年。「遺族は偏見など2次被害にも苦しんでいる」と訴える。

 事件は1996年6月、明石駅近くの国道2号沿いで起きた。雅生さんは男に背後から包丁で刺され、1時間後に死亡した。男は精神障害と認定され、不起訴になった。

 曽我部さんは、知人が何気なく「他にも息子がいてよかったじゃない」と励ます言葉に傷ついた。損害賠償を求めた他の遺族が「お金が欲しいの」と陰口を言われたのも、言葉に表せないほどつらかった。

 被害者の実情を知ってほしい。「風通信」を98年に発行し、20冊以上になる。被害当事者の団体「風通信舎」も主宰し、遺族や被害者への支援を今も呼び掛ける。

 一方、明石市の取り組みなどで被害者や遺族に対する市民の目が温かくなってきたとも感じる。「それが、誰にも優しい地域づくりにつながる」と信じている。(藤井伸哉)

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