明石

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常連客のおしゃべりが止まらない店内=明石市相生町
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常連客のおしゃべりが止まらない店内=明石市相生町
客の寄せ書きがつづられた色紙=明石市相生町
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客の寄せ書きがつづられた色紙=明石市相生町
神戸新聞NEXT
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 健康の話題、昨晩のプロ野球の結果…。地元の人が集まって、コーヒーを飲みながら井戸端談義を楽しむ「老舗喫茶店」の閉店が兵庫県明石市内で相次いでいる。阪神・淡路大震災による移転を挟み、35年間続けてきた「純喫茶カーネス」(同市相生町)もその一つ。19日、常連客らに惜しまれながら最後の営業日を迎える。(小西隆久)

 同店は、病気を機に建築士から転職した上田進さん(77)と妻の信子さん(71)=北朝霧丘=が1983(昭和58)年12月にオープン。トルコ発祥の世界初のカフェにちなみ、2人とも初めての喫茶店経営との意味も込めて「カーネス」と名付けた。

 「サラリーマンが行きやすい店」として人気を呼び、朝から閉店まで「客が途切れることがなかった」と信子さん。息子2人を育てながら、大型連休なども休まず営業した。

 1995年1月の阪神・淡路大震災では、戸建ての1階部分にあった店舗が全壊した。1年半後に近所の文化住宅(現店舗)に店を移転。室内は建築士の進さんが改装した。

 住宅だったので、サイホンを置くカウンターのそばには2階へ上がる階段がせり出している。信子さんは「体がスリムでないとコーヒーが入れられない」と笑う。

 移転後も多くの客に親しまれたが、サラリーマンが減る一方で、お年寄りが増えた。

 朝は阪神タイガース談義に始まり、家族や自身の病気などについて冗談を交える客の会話に「聞いているとつい、吹き出してしまうの」と信子さん。

 転機は昨年7月、進さんが足の骨折を機に体調を崩しがちに。医師から「療養が必要」と言われ、2人で閉店を決めた。

 5月の連休明けに客に知らせると、常連客の呼び掛けで色紙に寄せ書きが集まった。

 「朝はカーネスから始まる」「一服のオアシスでした」…。色紙には感謝の気持ちが隙間なく、びっしりとつづられた。

 「こんなお客さんに囲まれていたから続けられた」と信子さん。19日も最後のコーヒー1杯まで真心を込めるつもりだ。

 最終日は午前8時~午後3時。同店TEL078・917・5905

■30年で100軒以上閉店、大半が経営者の高齢化か

 老舗喫茶店の閉店が相次ぐ背景には、経営者の高齢化に加え、次世代に引き継ぐ代替わりが進まない現状がある。

 明石市の統計資料によると、市内の喫茶店数は1986(昭和61)年の387軒をピークに減り続け、2014年には253軒になった。この約30年間で100軒以上の喫茶店が消えたことになる。

 経営者が高齢化を理由に店を続けられなくなるケースが大半とみられ、今回の「カーネス」でも店主の体調不良が閉店の契機になった。店主の子どもたちも「すでに自立してそれぞれ仕事をしている」(信子さん)と経営を引き継ぐ状況にないという。

 昔ながらのレトロな喫茶店の経営を厳しくしているのは、若者に人気の「セルフ式」カフェや、コンビニによる安価なコーヒー販売の台頭もある。

 信子さんは「店にじっくり座り込んでコーヒーを楽しむ時代は終わったのかな」とぽつり。

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