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全国新酒鑑評会で同社初の金賞に輝いた「神鷹 大吟醸35」を手にする平石幹郎社長(右)と杜氏の中村裕司さん=明石市大久保町西島
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全国新酒鑑評会で同社初の金賞に輝いた「神鷹 大吟醸35」を手にする平石幹郎社長(右)と杜氏の中村裕司さん=明石市大久保町西島
中村裕司さん
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中村裕司さん

 江井ヶ嶋酒造(兵庫県明石市大久保町西島)の大吟醸酒「神鷹 大吟醸35」が、今年の全国新酒鑑評会で金賞に輝いた。1888(明治21)年の創業以来、同社で初の快挙だ。(小西隆久)

 国内消費量が減少を続ける一方、海外ではワインに近い風味と深い味わいで人気を集める日本酒。

 同社は「これまでより多くの人に楽しんでもらえる酒」と自信をのぞかせる。同社の新機軸となる逸品になりそうだ。

 「大吟醸35」は、三木市志染町産の山田錦を厳選し、通常使う量のわずか1割程度、400キロを使って製造。実を残り35%まで削って精白し、手作業で仕込んだ。

 大吟醸特有のすっきりとしたキレと米特有のうま味があり、バランスの取れた味わいが高い評価を受けた。昨年の入賞からさらに磨きをかけ、初の金賞につながった。

 今回、全国の酒蔵から850点の応募があり、予備審査を通過したのは約半数の421点。このうち232点が金賞に選ばれた。

 審査では、独自の風味や香りを、公開された審査基準に限りなく近づける力量が問われる。平石幹郎社長(67)は「今回の受賞でうちの蔵の技術力の高さが証明された」と喜ぶ。

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 原動力となったのは3年前に入社した杜氏の中村裕司さん(46)だ。

 手作業の仕込みにこだわったのは「米の酒は繊細さが決め手。一つ一つの作業を丁寧にしないと、隠せない雑味が生まれる」との理由から。去年は金賞に0・1点足らなかった。

 「今年も去年とほとんど差がない出来。金賞は運もあります」と笑う。

 同社はこれまで、10回以上、新酒鑑評会に出品してきたが、「3年前から本気で金賞を狙うようになった」(平石社長)という。

 背景には、日本酒を取り巻く環境の激変がある。

 量産の“安い酒”が売れず、こだわった品質の高い酒だけが売れるという傾向だ。「小さい酒造メーカーにとっては、より競争が激しくなった」と平石社長。

 酒造りに妥協しない中村さんの入社がきっかけとなり、「社のブランド力を高めようとの機運が生まれ、酒造りが大きく変わった」と明かす。

 そんな中村さんが手がけた酒は昨年、世界最大級の品評会「インターナショナル・ワイン・チャレンジ(IWC)」で銀賞、大阪国税局の清酒鑑評会でも優秀賞に輝いた。

 「フランスのソムリエの試験でも日本酒が出題されるほど高い評価を受けている。日本の文化を広く発信したい」。中村さんと平石社長の挑戦は続く。

 「大吟醸35」は720ミリリットル入りで3600円(税別)。同社販売部TEL078・946・1006

■酒造りにかける情熱の源泉とは? 江井ケ島酒造の杜氏・中村さんに聞く

「飲んべえなんで。酒が好きなんですよ」

 酒造りにかける情熱の源泉を聞くと、こんな答えが返ってきた。

 尼崎市で生まれ、大学卒業後、調理器具メーカーに就職した。だが、「酒が造りたい」との思いを抑えることができず、新潟県の酒蔵に飛び込んだ。

 当時の酒蔵では、近隣の農家が出稼ぎで働く杜氏が主流。「周囲はベテランばかり。何も知らない若者は僕ぐらいだった」

 洗い物に追われる雑用から米を蒸す「かまや」、酵母を培養する「酛」など、すべての作業工程を一つずつ、1年ごとに学び、「手取り足取りで教えてもらった」と振り返る。

 入社して3年目、「杜氏として、酒のすべてを造り上げたい」と思うように。その頃、後継者を探していた奈良県の酒造会社を紹介され、14年間杜氏として酒造りを統率した。

 江井ヶ嶋酒造に入ったのは「(製造が)季節労働の日本酒だけでなく、ウイスキーやワインも手がけていた」から。

 「もっといろんな酒を造ってみたいんです」。“飲んべえ道”と飽くなき酒造りの探究に終わりはない。

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