明石

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魚の棚商店街にちなんだ曲をリリースした、歌手の音寺しをりさん=魚の棚商店街
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魚の棚商店街にちなんだ曲をリリースした、歌手の音寺しをりさん=魚の棚商店街

 「いてまえ、いてまえ」という力強いフレーズが印象的なアップテンポの曲。タイトルは「明石UONTANAいてマエ節」。魚の棚商店街(兵庫県明石市本町1)で生まれ育った歌手、音寺しをりさんが今月2日にCDとしてリリースした曲だ。

 同商店街の中にあった洋服の仕立屋に生まれた音寺さん。小さい頃、宝塚の女優を目指していたが、家業を継いでほしかった家族に反対され断念。高校卒業後は大阪の服飾の専門学校に通った。デザインの仕事を経験した後、実家に戻り、服の製図を手伝うようになった。

 音楽の道に足を踏み入れたのは、ふとしたことがきっかけだった。

 1993年のある日、「神戸のター坊」として知られていた演歌歌手、故松江和耶さんが神戸・三宮に構えていたスナックを訪れた。何か歌えと言われ、当時ヒットしていたテレサ・テンさんの曲を渋々歌ったところ、後日松江さんから「ちゃんと歌ってみないか」と口説かれた。

 迷いはあったが、チャレンジしたい気持ちもあった。阪神・淡路大震災の起きた95年、松江さんが歌う「明石海峡大橋『海峡夢みなと』」のデュエット相手としてCDデビュー。避難所を巡り、ボランティアでマイクを握った。

 地震後の、不安と緊張が入り交じった空気。だが、それぞれ違った事情を抱えていた被災者たちが、歌が始まると一つになった。

 その一瞬だけかもしれないが、皆が元気になった。歌の力を実感した。

 「明石UONTANAいてマエ節」は、元々この時のカップリング曲としてター坊が歌ったものだった。

     ◆

 同年12月、音楽事務所のオーディションを受けた。生半可な気持ちでは歌えない。もしここでだめならやめておこう。もしかすると、無謀な挑戦を踏みとどまる最後の機会にしたかったのかもしれない。

 だが、見事合格。歌謡曲を中心に、23年間さまざまな曲を歌ってきた。

 過去に出した曲の中には、神戸や三田にちなんだ曲もあるが、地元明石を歌うのは今回が初めて。

 「まさか、ター坊さんの曲をカバーすることになるとは。自分が生まれ育った商店街の曲を歌えるのはやっぱりうれしい」と喜ぶ。

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 音寺さんは、子ども時代を振り返る。

 「学校が終わった子どもたちがあちこち走り回って、店でおやつをもらう。昔の魚の棚は、そういうにぎやかな場所だった」

 「いてマエ節には昔の空気感がにじんでいる。今また商店街はにぎわいを取り戻しているけど、曲を聴いて、あの頃のことも思い出してくれたらうれしい」と話す。

 CDは1枚1500円。問い合わせは紅屋TEL078・914・6029まで。

(勝浦美香)

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