明石

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「いつかまた松本と肩を並べたい」。その一心でマウンドに立つ兵庫県警の小野翔太さん=三田市上内神
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「いつかまた松本と肩を並べたい」。その一心でマウンドに立つ兵庫県警の小野翔太さん=三田市上内神
埼玉西武ライオンズに入団し、会見する松本航投手=埼玉県所沢市
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埼玉西武ライオンズに入団し、会見する松本航投手=埼玉県所沢市
中学時代、松本投手とともに全国制覇を果たした頃の小野さん(右)=2011年12月
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中学時代、松本投手とともに全国制覇を果たした頃の小野さん(右)=2011年12月

 明石商(兵庫県明石市)出身の松本航投手(22)=日体大=が13日、プロ野球埼玉西武ライオンズに入団した。カメラのフラッシュでまぶしい会場の中心にいたのは、ドラフト1位の松本投手。そんな彼の背中を中学、高校と追い、今も追い続ける男がいる。「いつか必ず、あいつと肩を並べたい」。夢の舞台に上がった盟友の姿に自分の姿を重ねた。オレだって、いつか必ず--。

 午後5時、埼玉県所沢市の西武第2ビル。背番号17のユニホームに身を包んだ松本投手は、新入団選手発表会で表情を引き締めた。

 「ライオンズの17番といえば松本だと言われるようになりたい。新人王を取れるよう活躍したい」

 ずらりと並ぶカメラの前でそう語る姿は、自信に満ちていた。

 神戸西署に勤務する小野翔太さん(21)=神戸市須磨区=は宿直明けの午後、自宅でそのニュースを知った。

 明石市出身。魚住中から明石商に進み、野球部で松本投手とエースの座を争った。

 松本投手とは中学3年の時、硬式と同じ大きさ、重さのゴム製球を使うKボール兵庫選抜チーム「メジャーヒョウゴ」で出会い、ともに投手としてチームの全国制覇に貢献した。その頃からライバルだった。

 思い切り右腕を振る。ストレート勝負の小野さんに対し、カーブやスライダーなど多彩な変化球を操る松本投手。2年生になると、1年の時から1軍のマウンドに立つ機会が多かった松本投手との差が広がっていく。

 「このままで終わりたくない」と野球以外の生活態度から見直した。

 毎日、練習前に2合の白米をかきこみ、体重を10キロ以上も増やした。監督の指示でスライダーなどの変化球も覚え、最大球速は141キロまで出せるようになった。

 「松本に勝てるかもしれない」

 甘かった。松本投手も同じように苦しい練習を積み重ね、小野さんを上回る成長をとげていた。次第にエースの座は不動のものになっていく。「背番号1はどこまでも遠かった」

 夏の甲子園を目指した2014年7月20日。県大会3回戦。チームは6回コールドで播磨南を制し、小野さんは完投した。だが、これが高校最後のマウンドになった。

 チームは準々決勝で、松本投手が登板するも敗れ、最後の夏は終わった。

 卒業後は家庭の事情などもあり、進学せず就職を選んだ。燃え尽きたわけではなかった。それでも「野球は高校で終わり」と決め、ボールは握らなかった。

 あきらめたはずだった。だが、日体大に進んだ松本投手の活躍を知るたびに「胸の中のもやもやが大きくなり、抑えきれなくなった」。

   ■   ■

 15年秋、父から「働きながら野球を続けることもできる」と警察官の道を勧められた。

 日体大のエースとして輝きを増していく松本投手に刺激され、「もう一度勝負したい」と兵庫県警を受け、合格。16年10月に警察官となり、硬式野球部「県警桃太郎」に入部した。

 チームは社会人やクラブチームが入る日本野球連盟に加盟している。元プロ野球選手や甲子園経験者もおり、大会で上位を狙えるチームに育ちつつある。

 選手は約30人。所属や勤務形態が異なり、全体練習もままならない。小野さんも慣れない3交代勤務の合間に、疲れた体を引きずって練習する。

 来米淑人監督(41)は「調子に波がある。メンタルが課題」と厳しいが、「ストレートや切れのあるカーブが持ち味。まだ伸びしろはある」とエースに期待を寄せる。

   ■   ■

 この日、会見で最も注目を集めたのはドラフト1位の松本投手だった。

 「確かにすごい投手。プロでも活躍するだろう」と小野さんは確信する。

 でも……。「僕もさらなる高みを目指す。まずは今のマウンドで結果を積み重ね、遠くなってしまった彼の背中に追いつきたい」(小西隆久)

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