明石

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新曲を熱唱するかしわもちかずとさん=子午線ホール
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新曲を熱唱するかしわもちかずとさん=子午線ホール
サインは点字で=子午線ホール
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サインは点字で=子午線ホール

 全盲の高校生ミュージシャン、かしわもちかずと(本名=北畠一翔)さん(17)の5回目となる単独ライブに出かけた。17日付の神戸新聞・明石版で紙面の大半を使い、どーんと紹介した彼だ。

 「音楽活動を本格化させたい」と、オリジナル曲だけを集めた初のCDアルバムを完成させた。その記念ライブ。取材で「子午線ホール(兵庫県明石市)(約300席)を満員にしたい」と語る彼を応援したくて、思いの丈を記事にさせてもらった。

 開場直後のロビーは客でいっぱいだ。「お、これならいけるかも」とほくそ笑んだのだが…席の半分が埋まったところでライブがスタート。力不足ですみません。

 でも、そんな“傷心”の私を伸びやかな歌声がすくい上げてくれた。

 ミュージシャンとしての活動歴がもうすぐ10年を迎えるだけあって、舞台での風格はベテランのよう。

 曲の合間のトークも軽妙だ。視覚障害者の日常や、音楽を通じた出会いを、よどみなく語っていく。

 12歳で作った「うぉんたなの魚」は名曲だ。タイ、タコ、アナゴで韻を踏みながら、「うぅ~うぅ~、うぉんたな!」のフレーズで一気に盛り上がる。会場も一体になって歌った。

 もちろんユーモアは忘れない。師匠と慕う嘉門タツオさんが提供してくれた「旅するかしわもち」を歌い上げた後、歌詞の「あの人 気をつけて 妻子持ち」に触れて一言。

 「僕、この歌詞を11歳の時から歌ってるんです」

 爆笑。ほ、本物や、この人-。

 この日のお客さんは約130人。満員には届かなかったが、ファンが購入したCDに点字でサインする様子は満足そうだ。

 かずとさんに曲作りをアドバイスする元「いんぐりもんぐり」の永島浩之さん(51)=横浜市=がステージに飛び入りし、こんなエピソードを教えてくれた。

 視覚障害者の「怒り」をテーマにした新曲「KE・RE・DO」は泣きながら歌詞を書き上げ、製作に1カ月もかかったそうだ。

 帰途、一緒に行った娘(12)に感想を尋ねると「普通やった」。

 え? がっくりしていると「目が見えないこともまったく気にならんほどのステージやったって意味やで」と続けた。

 いや、目が見えないことを弱みどころか、強みにしている。不肖の父はそう感じたぞ。

 ところで、県立視覚特別支援学校(神戸市垂水区)を来春卒業するかずとさん。将来は大学に進んでパソコンのソフト開発などを学びつつ、「全盲ミュージシャンとして、自分にしか伝えられないメッセージを歌にしたい」と言う。

 かしわもちの旅はまだまだ続く。(小西隆久)

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