明石

  • 印刷
50年ぶりに再会した川原廣美さんと小西さん夫妻(左から)=神戸市垂水区
拡大
50年ぶりに再会した川原廣美さんと小西さん夫妻(左から)=神戸市垂水区

 「新聞の写真見てたら泣けてきたんよ。なんや、小西君と敏江ちゃんやないの。あの2人、50年間ちゃんと連れ添ったんや。すごいな~、素晴らしいな~。あんたに話してたら、また泣けてきたわ」

 受話器ごしに一気に話してくれたのは神戸市垂水区の川原廣美さん(69)。5月下旬、市民会館であった「金婚夫婦祝福式典」を伝えた明石版で、50年近く探し続けていた旧知の夫婦の写真を見つけたそうです。

 薄いサングラス。片手に扇子を広げ、少し斜に構えた小西誠さん(69)が、春色の着物を羽織った敏江さん(69)の背中をやさしく抱いたツーショット。

 「ヤンチャやった小西君のまんまやわ! 敏江ちゃんも穏やかで幸せそう」

 言葉があふれます。

 もう何十年も前に離婚した廣美さんの元夫が、小西さんと中学からの悪友だったそう。互いに19歳で結婚してからも、よく遊び歩いていました。

 夫を支える2人も“共闘”して親しくなり、夫婦ぐるみの仲良しになったそうです。

 でも、廣美さんが離婚して転居してからは、音信不通に。再婚、震災、元夫の死…。その都度、「小西君と敏江ちゃんに会いたい」と願いました。でも、自分の生活で精いっぱいでした。

 そして、結婚50周年を祝う「金婚夫婦祝福式典」の翌朝。ふと広げた新聞に、若き日の面影をしっかり残した2人が笑顔で写っているではありませんか。

 「ほんまに感動して。私も元気でがんばってますと、小西君に伝えてください」

 30分ほどの電話が終わりました。

     ◆

 「いや~ん、ひろみちゃん!? 忘れるわけありません。一緒に苦労したんよ」

 早速、小西さん宅に電話をすると、敏江さんの元気な声が聞こえました。

 「だんな同士が大親友でね。遊んでばっかりで、お互いずっと夫婦げんかして…。私も会いたいわ~」

 話はとんとん拍子に進み、50年ぶりの再会が決まりました。場所は、廣美さんが10年前から切り盛りするJR垂水駅東口のお好み焼き屋「おこのみや」です。

 再会日は6月14日夜。

     ◆

 新聞に載った小西さん夫婦の写真には「震災以外はかすり傷」という言葉が添えられていました。

 真っ白の上下のスーツで颯爽と現れた小西さん。40代で脱サラし、「一発当てたろ」と、神戸市長田区の大正筋商店街に八百屋を出しました。その10カ月後、震災の大火で全焼したそうです。

 それからは新聞配達や鉄工所のアルバイトで食いつないできました。

 「まあ、震災がなかったら遊びほうけの人生だったかもしれん。奥さんには迷惑かけっぱなしやったけど」。サングラスの奥の優しい目が、少し照れています。隣で敏江さんと廣美さんが「そうやそうや」とはやし立てます。

 今となっては全てが笑い話。50年の“空白”などなかったかのように、半世紀ぶりの宴は続きました。(木村信行)

明石の最新
もっと見る

天気(9月20日)

  • 26℃
  • 20℃
  • 30%

  • 26℃
  • 16℃
  • 20%

  • 26℃
  • 18℃
  • 40%

  • 26℃
  • 17℃
  • 30%

お知らせ