明石

  • 印刷
右手を懐に入れ右足で蹴りをする独自の形を披露する石井啓友さん(右)=明石市貴崎1
拡大
右手を懐に入れ右足で蹴りをする独自の形を披露する石井啓友さん(右)=明石市貴崎1

 兵庫県明石市が目指す共生社会づくりの拠点として、同市が今春開設した総合福祉センター新館(同市貴崎1)で、県障害者空手道部会長の石井啓友さん(66)=同市=が障害者空手の体験会を開く。対象は中学、高校の空手部員たちだ。「若い子に共に生きるとは何かを考えてもらいたい。将来、障害者空手の指導者が生まれてくれたら」と意気込む。(長沢伸一)

 石井さんは1歳のとき、ウイルス性感染症のポリオにかかった。まひが残る右腕は、指先をのぞいてほとんど動かせない。

 1964年の東京オリンピックを見て、中高生時代は陸上の短距離選手になった。だが「30メートル走ると体の軸がぶれてしまう。健常者とは勝負にならなかった」と悔しがる。

     ◆

 千葉県の淑徳大学社会福祉学部に進み、空手と出会った。新入生の勧誘で見た演武の美しさに圧倒された。全身に力を込めているのに体の軸がぶれない。

 迷わず空手部に入部した。「動かない右腕のことなんて考えもしなかった」と笑う。

 部の練習が終わると、外部師範が所属していた企業の空手部にも参加した。

 ハンディを抱えながらも真剣に取り組む石井さんの姿に、師範が「石井くんが戦える空手の方法を教えたい」と声を掛けてくれた。

 師範は日常生活や空手の稽古中も1週間、右腕を使わずに暮らし、片腕でもできる空手の形を考えてくれた。

 右腕を道着の懐に入れ、右腕の突きの代わりに右蹴りをする。師範が考えてくれた「変形スタイル」だ。

 大会の審査員も初めて見る形に戸惑いつつ、「技の速さやキレ、強さで評価すればいいじゃないか」と認めてくれた。

 1977年、初段以下の選手が出場する兵庫県大会の2部で優勝。障害者が健常者の空手大会で優勝したのは県内初だった。

     ◆

 県社会福祉事業団で勤務し、病院の事務や県立総合リハビリテーションセンターで障害者の職業能力訓練に携わりつつ、約40年間空手を教えてきた。2004年には県障害者空手道部会を創設。一人一人の障害に合わせた形を考案し、指導してきた。

 現在は総合福祉センター新館で5月の開館から職員として勤務する。

 同施設は障害があっても取り組めるスポーツ教室を開いている。施設をさらに活用しようと、障害者空手の体験会を計画した。

     ◆

 開催予定は1月。中学と高校の空手部に参加を呼び掛けるつもりだ。石井さんの独特な空手を子どもたちに見てもらうことで、障害とは何かを考えてもらうきっかけにしたいという。県障害者空手道部会を一緒に立ち上げた師範の田中博之さん(56)も手伝う。

 稽古後は参加者から感想を聞き、施設の活用法を市に提案する予定だ。(長沢伸一)

明石の最新
もっと見る

天気(1月29日)

  • 14℃
  • 10℃
  • 20%

  • 12℃
  • 8℃
  • 60%

  • 14℃
  • 10℃
  • 40%

  • 14℃
  • 10℃
  • 40%

お知らせ