明石

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「漁獲ゼロ」が分かり、イカナゴを入れるための籠を片付ける漁協職員=林崎漁港(撮影・秋山亮太)
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「漁獲ゼロ」が分かり、イカナゴを入れるための籠を片付ける漁協職員=林崎漁港(撮影・秋山亮太)
宝石のように輝く貴重なイカナゴのシンコ=魚の棚商店街
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宝石のように輝く貴重なイカナゴのシンコ=魚の棚商店街
「早く欲しいわ」。待ちわびたイカナゴに熱い視線を注ぐ客たち=魚の棚商店街
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「早く欲しいわ」。待ちわびたイカナゴに熱い視線を注ぐ客たち=魚の棚商店街

 播磨灘などでイカナゴのシンコ漁が29日、解禁された。不漁との予想通り初日の水揚げは振るわず、「漁獲ゼロ」の漁港もあり、関係者を驚かせた。一方で、商店街ではくぎ煮作りに情熱を燃やす買い物客が、わずかなシンコを求め長蛇の列に。店先でキラキラと輝くシンコは一瞬でなくなり、買えた人、買えなかった人で悲喜こもごも。「春告魚」に沸いた港町を取材した。

 林崎漁港(兵庫県明石市林3)では、早朝から11隻の船が出港。時折、雨がぱらつく中、取れたイカナゴを入れる籠が岸壁に重ねて置かれている。船は帰って来ておらず、港は静かなままだ。

 「毎年、シンコがどれくらい成長しているんかを見るのが楽しみなんや」。10年以上、解禁日の漁港に来ている男性(73)が船影のない海をじっと見つめる。

 午前9時すぎ、突然、籠が片付けられ始める。集まった報道関係者らに、林崎漁協の職員が「今日の水揚げはありません」と告げた。仲買人たちが急いで携帯電話を取り出し、ほかの漁港の情報を集め始めた。

 「ここで40年漁師をやっているが、初日に漁獲ゼロなんて記憶にない」。同漁協の田沼政男組合長(66)が肩を落とす。

 隣の明石浦漁協(岬町)の水揚げは約450キロ。1籠(25キロ)が7万円前後で取引された。今年は暖冬で水温が下がらず、イカナゴと同じプランクトンを食べるイワシシラスが越冬。1割ほどシラスが混入していたという。

 その頃、魚の棚商店街(本町1)では、鮮魚店前に買い物客が長い列を作り、イカナゴの到着を今か今かと待ちわびていた。

 鮮魚店「松庄」で午前10時半、店主の松谷佳邦さん(57)が「今から2籠だけ入ります」と客に告げると、拍手がわき起こった。運び込まれたイカナゴは次々と売れていく。商店街での価格は1キロ4千円前後。

 7時半から並んでいた明石市の主婦(69)は、手に入れたシンコを大事そうに抱えながら「やっと買えた」と満面の笑み。「早速、家で炊くわ」と帰路を急いだ。

 中には、並んだのに買えず手ぶらで帰る人も。鮮魚店で「次の入荷はいつ」「いくらぐらいするの」と尋ねていた主婦(86)=神戸市西区=は「今日は天気が悪いから、ちゃんと入荷されたかを確認にきた。去年はなんとか4キロ買えたけど、今年は無理そうね」と不安そう。

 鮮魚店「松庄」の松谷さんは「新型コロナウイルスやなんや言うてるけど、春の風物詩を楽しむぐらいの心の余裕を持たなあかん。水揚げは少なかったけど、港町にちゃんと春は来たで」と笑った。(長沢伸一、小西隆久)

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