明石

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冷たい風の中、ギターを弾く藤本さん=南極(本人提供)
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冷たい風の中、ギターを弾く藤本さん=南極(本人提供)

 2020年2月、南極。ギターを抱えて熱唱する一人の男がいた。兵庫県明石市の土地家屋調査士、藤本明生さん(55)。自身が20歳の時に心に決めた「世界7大陸ギター歌い歩き」の夢を成し遂げた。「人生でやり残したことがないように」。さまざまな苦難を乗り越え、35年の歳月を経てついにかなえた。(長沢伸一)

 明石高専在学中にギターに目覚めた藤本さん。世界初の五大陸最高峰登頂を果たした冒険家・植村直己さん=豊岡市出身=の追悼映画を見たのをきっかけに、壮大なチャレンジが始まった。

 高山病で遭難しかかったキリマンジャロ(23歳)、パスポートを盗まれたコロンビア(24歳)-。冷や汗ものの思い出はいまも鮮明だ。

 南極でも難事が待ち受けていた。渡航前は「ペンギンの横で歌いたい」と考えていたが、南極条約が壁になり、ペンギンには5メートルまでしか近づけない。さらに上陸予定地にはペンギンがいるため、ギターの持ち込みも許されなかった。

 「これでは歌えない」。あきらめかけたその時、乗っていたクルーズ船で30人限定の南極テント泊の募集があり、見事当選した。

 南極で1泊した翌朝、ペンギンがいないために持ち込めたギターを手に一人、強風の中をテントの外へ。一面、真っ白な極寒の世界で自身のオリジナル曲「Be a MAN!~男であれ」を静かに歌った。「やっと終わった」。感慨がこみ上げた。

 新型コロナウイルスの感染が世界に広がる直前のタイミング。「あと1週間遅れていたらできなかった。幸運だった」

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 50歳の時、急死したギター仲間の通夜に参列した。「もし余命1年やったら何する?」。知人のつぶやきに、なえかけていた気持ちにむちが入った。2017年にキリマンジャロに再挑戦。頂上で歌い上げた。

 「残された時間はみんなまちまち。何もしないのはもったいない」と藤本さん。次の夢も決まった。俳人松尾芭蕉の歩いた場所でギターを弾く計画だ。「夢を持っていきいきしている人を明石で増やしたい。そうすればきっと、町も活気づく」

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