明石

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自慢の愛車「福浪号」を前に笑顔を浮かべる福浪弘和さん=明石市明石公園
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自慢の愛車「福浪号」を前に笑顔を浮かべる福浪弘和さん=明石市明石公園
お客さんを乗せる福浪さん。最初は「おっかなびっくり」でも最後は笑顔で車を降りる客がほとんど=明石市明石公園
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お客さんを乗せる福浪さん。最初は「おっかなびっくり」でも最後は笑顔で車を降りる客がほとんど=明石市明石公園
明石城を背景に人力車が駆ける光景は、さながら明治時代にタイムトリップしたよう=明石市明石公園
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明石城を背景に人力車が駆ける光景は、さながら明治時代にタイムトリップしたよう=明石市明石公園

 明石公園(兵庫県明石市)で、1台の人力車が疾走している。引き手は本職が板前の福浪弘和さん(33)=同市=。2年後、道中で出会う人たちを乗せながら人力車で日本列島を1周する旅に出るため、日々鍛錬を続ける。(小西隆久)

 福浪さんは3年前、「毎日続けられる運動を」とランニングを始め、走る魅力に「ハマった」。アニメなどの登場人物をまねたコスプレ姿でマラソンを走るうち、丸刈りの「一休さん」が定番に。シューズをげたに履き替え、昨年の大阪マラソンでは3時間58分43秒のげた履きギネス記録を達成した。

 「げたランナー」が掲げた次なる夢は「世界一の人力車」。なぜ?「げたマラソンで何かを成し遂げることの面白さを学んだ。次はみんなに無料で乗ってもらい、笑顔をもらいたい」とどこまでも屈託がない。

 今年6月、資金をこつこつためて約200万円の人力車を購入。日本列島を野宿で1周する旅は2022年春の出発と決めた。あとは過酷な旅に備えて鍛錬あるのみ。板前の仕事をしながら毎日、雨の日もげた履きでランニング10キロを欠かさない。

 道路交通法などで人力車は、自転車と同じ軽車両に区分される。警察は当初、前例がないことを理由に公道での走行に難色を示した。くじけず明石観光協会などの協力を得て交渉し、明石公園と周辺の公道は走れるようになった。

 人力車のタイヤは直径41インチ(約104センチ)と、子ども用自転車の2倍。座席や折りたたみ式の屋根、車体を引く梶棒(かじぼう)などを含む全重量は100キロを超える。

 梶棒を握った初日は「思ったより重かった」と福浪さん。車夫の格好で公園に人力車を持ち込み、親子連れやカップルらに「乗りませんか」と声を掛けて回った。最初はためらいがちな客も「無料ですよ」と告げると「じゃ乗ってみます」と身を任せてくれた。

 車夫は安全に目的地まで送り届けるだけでなく、客とのおしゃべりも大切なお仕事。明石城の熟練ガイドに師事し、築城の経緯や歴史的な背景、知られざる逸話などもじっくりと教わった。

 人力車の練習は平日2~3時間、日曜は午前10時から夕方4時頃まで車を引く。1日最多で61人を乗せたことも。「剛ノ池まで周遊する30分コースは時間がかかるので、1回約10分のお手軽なコースもつくりました」。上腕やふくらはぎは以前より太くなった。

 こんなこともあった。人力車を車庫に納めにいく坂道で、買い物袋を抱え、道ばたで座り込むお年寄りが目に入った。「おばあちゃん、家まで送ろうか」。女性は驚きながらも「初めて乗るけど気持ちいいね」と自宅までの短い時間、目を細めていた。「こんなことも乗車無料だからこそできる。喜んでもらえるのが一番」

 普段の生活では目にすることのない人力車だけに「結婚式や成人式などの門出にぜひ利用を」と福浪さん。写真撮影だけの要望にもできる限り応えているという。

 今夏は異常ともいえる猛暑日が続く。福浪さんはきょうも人力車を引き、明石公園周辺でたくさんの笑顔を運び続ける。

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