明石

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収穫間近の酒米の作柄を確かめる西海英一郎さん=明石市魚住町金ケ崎
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収穫間近の酒米の作柄を確かめる西海英一郎さん=明石市魚住町金ケ崎
「地元の歴史についてもっと知りたい」と話す阪口明史さん=明石市大久保町西島
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「地元の歴史についてもっと知りたい」と話す阪口明史さん=明石市大久保町西島

 良質の水と米に恵まれた明石は、江戸時代から酒造りが盛んだった。神戸の酒どころ「灘」に対し、兵庫県の明石は「西灘」と呼ばれ、今も工夫と改良を重ねた個性的な酒が造られている。明石の酒造りをひもとく企画展が明石市立文化博物館(同県明石市上ノ丸2)で開かれているのに合わせ、市内の蔵で働く若手2人に、西灘の伝統と誇りを受け継ぐ酒造りへの思いを語ってもらった。(吉本晃司)

■無農薬米育て味追求 西海酒造 西海英一郎さん(42)

 清酒「空の鶴」で知られる西海酒造(兵庫県明石市魚住町金ケ崎)は1716年の創業。9代目当主の太兵衛さん(77)とともに、酒造りを担う。両親と親戚の4人、繁忙期でも10人以下の家族経営。酒米は全量を近くの水田で栽培。田植え、稲刈り、杜氏(とうじ)を親子でこなしている。

 生産量は一升瓶換算で年間約3千本。小規模なため、薬剤師として働きながら兼業で酒蔵を維持してきた。太兵衛さんは高校教師だった。

 原料を一定量確保しなければならない大きな酒造会社と異なり、小回りがきく利点もある。「酒米には農薬を使わない。虫に食われることもあるが、無農薬だから自然のままの米で酒づくりができる」

 台風で思うように収穫できないこともある。それでも家族の支えがあればこそ、やりたい酒造りを追い求め続けることができた。

 「子どもの頃、蔵人と一緒に風呂に入った。酒造りが当たり前の生活だった。300年続いている家業を絶やすわけにはいかない」。伝統の重さをかみしめつつ、「明石と灘が切磋琢磨し、世界に通用する日本酒を造りたい」と業界の活性化に意欲を見せる。

■伝統の銘柄受け継ぐ 江井ヶ嶋酒造 阪口明史さん(39)

 「神鷹」「日本魂(やまとだましい)」で知られる江井ヶ嶋酒造(明石市大久保町西島)。曽祖父から4代続けて同社に勤め、製造畑で酒税に関する帳簿の記録などを担当する。

 同社の販売担当役員だった父が病気で倒れたのが5年前。「神鷹を見ると、自分はこの酒で育ててもらったと思うようになった。恩返しをしよう」。別の会社から転職した。

 従業員約50人。手掛ける商品は清酒、焼酎、ウイスキー、ワインなど幅広い。今はウイスキーが伸びている。「ウイスキーの銘柄は『あかし』。明石の知名度に貢献できているのかな」

 ブームや社会情勢を背景に需要の変動はつきもの。「少しずついろいろな酒を造ることで、経営リスクを分散している」。感謝するのは、先人の知恵だ。

 社員に思い入れが強いのはやはり「神鷹」。売れる酒を造るのも大事だが、「特徴的な酒をきっかけにブランドを知ってもらう流れをつくりたい」と話す。

 入社を機に30年ぶりに江井島に住むようになった。地域が同社の発展とともにあったことに重みも感じている。「伝統を継承し、清酒のブランドをさらに育てていきたい」。そう強く胸に誓っている。

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