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大麻らしき隠語や画像が並ぶSNSの画面(画像の一部は加工しています)
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大麻らしき隠語や画像が並ぶSNSの画面(画像の一部は加工しています)

 若者の大麻の乱用が後を絶たない。全国の警察などが昨年、大麻取締法違反で摘発した人数は、統計を取り始めた1971年以降で過去最多の4570人となり、年齢層別では20代以下が飛躍的に増えている。兵庫県警明石署でも今年に入り、同法違反(所持)の疑いで高校生や大学生ら20人以上を摘発していたことが、捜査関係者への取材で分かった。全員が10~20代の若者。大麻が友人関係などを介して徐々に若者に浸透していく実態を追った。(長沢伸一)

 今年の春先、真夜中の明石市内のコンビニ駐車場。周囲をうかがいながら片隅に立っている若者に、男が近づいていく。若者は財布から取り出した1万円と引き換えに男から茶封筒を受け取った。中身は乾燥した植物片1グラム。若者は止めていた車へ足早に乗り込み、植物片をたばこの巻紙にくるみ“一服”を始めた。たいたお香のような甘ったるいにおいがたちまち車内に充満した。

 若者はツイッターで「野菜」などと検索して大麻を注文。「野菜」は大麻を意味する。若者は市内まで“配達”してきた売り子から1グラム約1万円で手に入れていた。この若者は買い物もせず、車中にとどまり続ける様子を不審に思った明石署員に逮捕された。

 「悪いこととは分かっていた」。罪の意識はあっても大麻に手を染める若者は後を絶たない。コンビニで買えるコーヒーカップのふたに1センチほどの穴を複数開け、飲むふりをしながら堂々と大麻を吸っていた若者もいるという。

    ◆

 今月24日、神戸地裁明石支部で、大麻取締法違反の罪で起訴された被告の男子大学生(22)の初公判が開かれた。起訴状などによると、同県高砂市内の路上で大麻約1グラムを所持したとされる。

 男子大学生が同法違反で逮捕されるのは2回目。「もう二度と使わない」と法廷で述べ、執行猶予付きの判決が下された2年後、男子学生は同じ被告人席に座っていた。

 公判によると、男子大学生は看護師を目指して大学に入学後、大阪府内にある好きなレゲエ音楽のライブハウスに出入りするように。そこで出会った男から大麻を勧められたという。

 「部屋で聴く音楽がまるでライブのように響いてハイになれる」

 捜査関係者によると、男子大学生は喫煙者で、たばこの合間にたばこ紙で巻いた大麻を吸っていた。海岸の見える公園で吸うと「普段より風景がきれいに見えた」。

 1回目の逮捕後、実家暮らしでしばらくはやめた。実習先の病院が遠いとの理由で昨年9月から寝泊まりしていた友人宅でしつこく持ちかけられた。断り切れずに再び手を出すと「リラックスできた」。

 「誰かとやっているときが楽しい。1人では気持ちよくない」とも述べ、手を染めた若者が欲しがる若者を探し求め、ごく身近なところに流通網が広がっていく構図が浮き彫りになった。

 「次に捕まれば刑務所に行く可能性があると分かっていた」。再び大麻を手に取ったときの心境を検察に問われ、被告はこう答えた。検察によると、昨年の秋から120回以上吸っていた。やめられなかった。

 明石署が大麻の流通ルートを捜査していたところ、男子大学生が浮上。行動をマークしていた署員が高砂市内で現行犯逮捕し、起訴された。

 裁判で「自分が甘かった」と述べた被告。証言台に立った父親は「本人がやめるつもりである限りサポートする」と震える声で語った。

    ◆

 捜査関係者によると、明石署に今年摘発された男子高校生の1人は、地元の遊び友達からもらったことがきっかけで大麻を吸い始めた。仲間が摘発されるたびに止めたが、「あのハイになった感覚をもう一度味わいたい」と手にしたという。

 「たばこがよくて大麻がなぜ悪いのか」。逮捕された若者たちは捜査関係者の調べに対し、こう答えた。「大麻を吸って人を殺したとか聞いたことがない。そんなに悪いもんじゃない」。こんな主張をする若者もいたという。

 捜査関係者は「大麻は実害がないと言われるがそんなことはない。幻覚や幻聴が出る。人に危害を加えた事例もある」と指摘する。

    ◆

 起訴された男子大学生は公判で自らの罪を認め、「自分を信じてくれた人をまた裏切ることになり申し訳ない」と謝罪の言葉も口にした。執行猶予処分が取り消され、実刑が予想される。興味本位の代償は軽くない。

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