認知症と闘う95歳、植木をバザーに 収益を寄付

2021/06/07 05:30

馬田好一さん(左)から寄付金を受け取るボランティア団体のメンバー=明石市明南町3

 認知症がある兵庫県明石市の馬田好一さん(95)が、丹精して育てた植木をバザーに出品し、売り上げを市内のボランティア団体へ寄付した。趣味を生かして地域の役に立つことで、同じように病気と闘う人や家族にとって励みとなりたい-との思いを込めた。(川崎恵莉子) 関連ニュース 雑木林に消えた認知症男性、捜索開始30分で発見 耳と鼻ひくひく「ビクトール号」お手柄 飼い主が認知症で入院、飼育崩壊の猫と涙の別れ…「飼い主も猫も死んじゃう!」新たな家族と踏み出した一歩 認知症高齢者らの事故やトラブル、損害賠償を市が肩代わり 丹波市、制度導入方針 患者や家族の不安軽減


 馬田さんは「協同の苑藤江デイサービス」(同市藤江)を利用している。施設の職員によると、馬田さんは農業にいそしんできたが、5年以上前に認知症を発症。耳も聞こえにくいため、職員はホワイトボードを使って意思疎通しているという。
 一方で長年、趣味としてランや金のなる木などの植木の世話を楽しんでおり、現在も自宅で栽培を続ける。「どうぞ、植木を持って行って」。周囲の人たちへ気さくに声をかける馬田さんの姿を見て、施設職員が市内で催されるバザーに植木を出品することを提案。売り上げは地域へ寄付することになった。
 今回は収益の9千円を、沢池小校区で独居高齢者らの交流会を催すボランティア団体「野の花」などに寄付した。馬田さんから寄付を受け取った同団体の尾上滿子さん(69)は「できる範囲で精いっぱい地域に貢献しようというお気持ちを受け止めました」と話していた。

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