提供困難な搾りたての日本酒…特殊容器で愛飲家へ 生酒の量り売り店誕生 明石

2022/02/25 05:30

サーバーからパウチパックに生酒を注ぐ渡邉大代表。搾りたての日本酒の味わいを提供する=明石市本町2

 日本酒の生酒を搾りたての味で楽しめる量り売り店「SAKE SBW(サケ・エスビーダブリュー)」が、兵庫県明石市本町2にオープンした。空気や光に触れさせずに保存、運搬できる特殊な容器を使用。従来は提供が難しかった生酒の新鮮で豊かな味わいを愛飲家らに届ける。(有冨晴貴) 関連ニュース 隠れ家すぎると話題、京懐石料理店の朝食をコース仕立てでいただく 京都・錦市場 「名前を書いて!」「生モノと自家製食品はダメ絶対!」 コミケで差し入れする際のお願いが話題に 酒どころでは“日陰”の存在?『甘酒』の奥深い魅力に新聞記者が迫る!…


 特殊容器の輸入販売を手掛ける「クリップ・クリエイティブ」(同市)が経営する。同社がオランダのメーカーなどの協力で開発した生酒専用のサーバー「KEG・DRAFT(ケグ・ドラフト)」で注いで販売する。
 生酒は加熱殺菌しておらず、酵母などが残った状態。同社によると、注いだ瞬間から酸化などによって味が変わるため、管理に繊細さを要するという。
 搾ったばかりの生酒は各蔵元で光や空気に当たらないように樹脂製の袋(10リットル)に充填(じゅうてん)し、それをタンクに入れて運搬。店内に設置したサーバーを使って専用のパウチパックに移し、販売する。同社の渡邉大(ひろし)代表(46)は「搾りたて特有のガス感やフレッシュさが味わえる」と胸を張る。
 物流会社に勤めていた渡邉さんは海外出張の折、現地で日本酒を飲み、品質管理の大切さを痛感した経験がある。「世界のどこでもおいしい日本酒が飲めるようにしたい」と2018年、同社を立ち上げた。
 酸化を防ぎ、炭酸が抜けにくいビールサーバーを製造しているオランダの企業や、地元の茨木酒造(同市魚住町西岡)などの協力でまずサーバーの開発から着手。試行錯誤を繰り返しながら持ち帰り用の専用パウチまで一連の仕組みを考案した。今回の出店には、消費者や飲食店経営者に対し、生酒のおいしさをPRし、サーバーなどの販路開拓を目指す「ショールーム」としての意味合いもあるという。
 店頭では茨木酒造の「来楽」のほか、「竹泉」(朝来市)や「富久錦」(加西市)など兵庫県内を中心に約20銘柄の生酒をそろえる。銘柄ごとに値段は異なり、0・3リットルで1500円から。渡邉さんは「直接酒造を訪ねないと楽しめない味。価格に対して十分な価値があると思う。より多くの人に、日本酒本来のおいしさを楽しんでほしい」と話す。詳細は写真共有アプリ「インスタグラム」(https://www.instagram.com/kegdraftjapan/)で発信している。

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