兵庫県明石市と淡路島北部の漁協でつくる「鹿ノ瀬会」が8日、播磨灘の鹿ノ瀬海域で、海底の泥や砂をかき混ぜる「海底耕運」を実施した。海底に積もった栄養分を海水の中にかき出すことによって豊かな海をつくろうと、漁船32隻が参加した。(有冨晴貴)
鹿ノ瀬海域は、明石市や同県加古川市と淡路島の中央付近に位置する。水深が5~30メートルと周辺と比べて浅く、イカナゴなどの漁場やノリの養殖場として知られている。
鹿ノ瀬会には、計8漁協が加盟する。今回の海底耕運は8日と10日の計2日間で行われ、明石市からは明石浦、林崎、東二見、西二見の4漁協が参加している。鹿ノ瀬会として海底耕運に取り組むのは3回目となる。
鹿ノ瀬海域を含む播磨灘の漁業者は近年、イカナゴやマダコの不漁、ノリの色落ちなどに悩まされている。原因の一つとして、窒素やリンなど、生物が育つのに必要な栄養塩の不足が挙げられている。
海底耕運は、海底の泥などをかき回すことで、堆積物に含まれる栄養塩をかき出すのが狙い。「ケタ」と呼ばれる、爪が付いた鉄製の器具をロープなどで海底に垂らし、漁船で引っ張って行う。
8日には、明石市内4漁協と育波浦漁協(淡路市)が参加した。午前6時半から8時半ごろまで、鹿ノ瀬海域を数往復し、堆積物をかき出した。
林崎漁協の久留嶋継光指導課長(32)は「漁業を続けていくために今後も取り組んでいきたい」と話した。
