言葉の代わりに思いを音に乗せ 自閉症のピアニスト・末近功也さん 23日、子午線ホールで演奏

2022/10/16 05:30

自宅のピアノを弾く末近功也さん=神戸市西区

 自閉症の末近功也さん(23)=神戸市西区=が、ピアニスト「Kohya Suechika」としてステージに上がっている。幼い頃から言葉の代わりにピアノで気持ちを届けるように弾いてきた。音楽を通じて仲間と出会い、聴衆を魅了している。23日にはアスピア明石(兵庫県明石市)の子午線ホールで演奏する。(松本寿美子) 関連ニュース 騒いでも動き回っても大丈夫 障害に関係なく皆で楽しもう 尼崎の図書館でサーカス観賞会 クスッと笑える絵画50点 障害ある25歳、宝塚で個展 タブレットで制作、詩や熟語から着想 森泉が「大ファン」と公言する自閉症の画家石村嘉成 独特の色彩、ダイナミックな筆致で描く動物たち 兵庫県立美術館で関西初の大規模展


 末近さんは2歳のとき、自閉症スペクトラムと診断された。言葉が出にくい、視線が合わない、呼びかけに振り向かないなどの特徴がある。幼稚園年長のとき友人の鍵盤ハーモニカを聞き、自宅でピアノを教える母親の百合子さん(57)や姉をまねて弾き始め、小学3年からレッスンに通った。言葉も訓練し、出るようになった。
 中学3年のときウィーンの「国際障害者ピアノフェスティバル」自由曲・発達障害部門で金賞(1位)を受賞。阪神昆陽特別支援学校(兵庫県伊丹市)高等部時代には県学生ピアノコンクール地区予選で銅賞を受けた。
 卒業後、航空会社でデータ入力の仕事をしたが、ストレスからパニック障害を発症、聴覚過敏も再発した。一時は転換性障害から歩行も困難になり退職した。
 苦しい中でもピアノは続けた。ストリートピアノや商業施設のステージで弾くと、涙を流して聴いている人もいる。ラインを通じて感謝のメッセージも届く。
 父親の良浩さん(57)と百合子さんは「最近はパニック障害が治まり、周囲とコミュニケーションを取ろうとしている。親としては人とつながり、私たち亡き後、功也が安心して暮らせる状態があることが願い。その真ん中にピアノがあればいい」と話す。
 23日はアスピアである「みんな本気フェスタ」で午前10時5分から演奏。ショパンのポロネーズ「英雄」とリストのラ・カンパネラのほか、「ウィー・アー・ザ・ワールド」など洋楽3曲も弾く。無料。同フェスタ事務局TEL078・918・8500
 11月6日には神戸ハーバーランドの商業施設「モザイク」海側・高浜岸壁である「はぁ~とふるふぁんどフェスタ」にも出演。詳細は県遊技会館TEL078・351・2371

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